新潟大学大学院医歯学総合研究科 救命救急医学分野
(新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター)本多 忠幸
コロナ禍になって3年が経過しました。新年度から扱いが異なることになり大きく変革する流れです。しかしながら、病院関係者としては5類相当に変更しても病床管理においては変わらないと考えているところです。
そんな中で、昨年、令和4年5月28日・29日に新潟医療人育成センターを会場としての日本外傷初期診療(JATEC)新潟コースを新潟市医師会協賛のもと新潟大学大学院医歯学総合研究科救命救急医学分野の主催で開催しました。遅くなりましたが会員の皆様にご報告致します。平成25年より新潟市医師会のご支援のもと本コースは開催されてきましたが今回3年ぶりに開催することができました。
JATECとは、Japan Advanced Trauma Evaluation & Careの略で外傷初期診療を学ぶための講義と実習のコースです。具体的には「外傷初期診療ガイドライン」に準拠して様々な症例を想定した問題解決型の研修コースで、模擬診療やシミュレーター人形を用いた修練を行います。外傷患者を診療する機会のある医師を対象とし2日間にわたって行われます。コース1日目は救急診療に必要な手技と理論を身につけることを目的に、外科的気道確保、胸腔穿刺、FAST、心嚢穿刺、胸部X線読影、骨盤X線読影、頭部外傷の評価、CT画像の評価をそれぞれのブースで学びます。そして、1日目午後から2日目午前中までにケースシナリオによる模擬診療を行い、外傷患者の診療と処置を受講者の1人1人が実践することになります。最後に学習効果を判定するために実技試験と筆記試験が行われます。全国規模で展開しており、講師陣は臨床の現場で外傷診療や救急医療に携わっている救命救急センターや大学病院の医師が主に担っております。
このような開催形式のためコロナ禍においては全国から講師を招くことができず2020年・2021年と開催を見合わせておりました。勿論、重症コロナ患者の対応やそれに関連して他の重症救急患者の受け入れ困難事例への対応と、新潟県も含めて全国的にそれどころではない状況でしたのですべてのコースが中止となっていたところです。
新潟コースを地方開催の1つとして昨年再開しましたが、新潟枠での受講者は9名と少なめでした。通常、新潟県の初期研修医2年生や後期研修医を対象に新潟枠として採用しておりましたが、広報不足であったと反省しているところです。勿論、9名全員が優秀な成績で修了しており、少数精鋭ながら新潟県の外傷医療のボトムアップに期待がもてます。
さて「JATECコース新潟2023開催のご案内」にもありますように今年も開催いたします。開催方法が従来と異なります。丸2日間の対面方式であったのが、ウェブセミナー形式で講義し(土曜日の半日)、翌週の土日のいずれか1日を対面で実習するという形式になりました。昨年7月から変更になり試行錯誤しながら各地で開催されているようで、主催者の力量が問われます。
新潟コースが開催できるのはひとえに新潟市医師会の御理解と多大なるご支援のおかげです。会員の皆様方に感謝いたします。今後ともよろしくお願いします。
(令和5年2月号)