永井 明彦
待ちに待ったサッカーJリーグの新シーズンが幕を開けた。とりわけ今年はリーグ創設30周年に当たるメモリアルイヤーである。しかもアルビレックス新潟が昨年J2で優勝して6年ぶりにJ1復帰を果たし、新シーズン第2戦で昨季カップ戦優勝の強豪S広島を敵地で撃破した。J1での勝利は2017年12月以来、実に5年3ヶ月(1912日)ぶりだ。実は、昨年秋J1昇格を果たした翌日、新潟日報の「窓」蘭に『コシヒカリサッカー万歳』と題した一文を投稿したことがある。アルビの今シーズン序盤の上々の滑り出しに気を良くし、恥ずかしながらボツになった拙稿を以下に披露したい。
「サッカーアルビレックス新潟がJ2優勝を果たした。アルベル前監督が植え付けたポゼッションサッカーを松橋監督が攻撃的なサッカーに深化発展させ、6年ぶりにJ1に復帰した。
フランスのサッカーは弾ける泡のように華麗で奔放なパス回しで、かつてシャンパンサッカーと言われたが、今シーズンのアルビも全員参加の華やかなサッカーを展開し、観る者を興奮させた。名付けるならば『コシヒカリサッカー』だろうか。守備陣はGキーパーを中心に粘り腰で守ってビルドアップを行い、光速カウンターを混じえた攻撃は前線のフォワードに頼ることなく、多くの選手が代わる代わる得点して炊きたてのコシヒカリのように光輝いた。
コロナパンデミックも終焉が近いが、医療資源の少ないコシの国、新潟県も医療従事者がオール新潟で乗り切り、人口当りの感染死が最も少ない県になった。
アルベル監督率いるFC東京との対決が今から待ち遠しい。来年はJ1の晴れ舞台でコシヒカリ旋風を巻き起こして欲しいものだ。」
シーズン早々、ホーム通算入場者数1000万名を達成したアルビは、C札幌のペトロビッチ監督に「攻撃的な新潟は今季のサプライズ」と言わしめ、常勝軍団の川崎Fにもウノゼロで快勝し、スタートダッシュは目を見張るようだ。
(令和5年4月号)