佐々木 壽英
2023年8月3日午前4時、東の空は凄い朝焼けになりそうな気配であった。日の出は4時50分頃である。海岸で朝のマジックアワーの写真を撮りたいが、内野港まで行く時間はない。家から真っすぐの寺尾浜へ車を走らせた。既に、東の空の薄雲が赤く染まり始めていた。砂丘の巨大風車を入れて撮影しながら海まで急いだ。朝焼け雲の映り込みで海も真っ赤に染まり、マジックアワーである。波打ち際で太陽が顔を出すまでの40分間に連写モードで何枚もシャッターを切った。
マジックアワーは写真撮影用語で、日の出40分前から10分前まで、日没10分後から40分後まで色彩が様々に変化する時間帯を指す言葉である。新潟海岸は夕日で有名で、日没後のマジックアワーを見た人は多い。しかし、朝のマジックアワーを見た人や専門に撮影した人は少ないと思う。私は、2021年5月から朝焼けの新潟海岸へ60回以上通って朝のマジックアワーの景色を撮影してきた。新潟の朝日は五頭山方面から昇ると思っている人が多いが、季節と見る場所によって朝日の昇る方向は違ってくる。
新潟の海岸線は、真北でなく北東を向いている。太陽が最も北に位置する夏至の頃、新潟海岸に立つと、遠くに見える朱鷺メッセのビルの上から太陽は昇ってくる。海は真っ赤に染まり、波打ち際に太陽のキラメキが長く帯状に写り込む。
これまで新潟市内では、新潟海岸の他に福島潟、阿賀野川、鳥屋野潟、信濃川、関屋分水、上堰潟、弥彦頂上などで朝焼けと朝日を撮影してきた。2023年9月25日から10月1日まで県民会館でデジタルフォト研究会写真展が開かれた。私は、市内8か所の朝のマジックアワーの写真「新潟の朝」を展示した。
来年、初夏になったら、日本海の朝焼けのマジックアワーと海辺に平行して写り込む朝日の帯を経験してみませんか。
(令和5年10月号)