木村 洋
昼の12時に新潟港を出港。船が進むにつれ、外海に出るまでこんなにも長い突堤があったのかと驚かされました。また、いつもは信濃川河口から見ている景色が変わり、島陰の先に万代シティーや駅前のビル群が小さく浮かびます。弥彦山も角田山も新潟市の街並みの向こうです。幸い大きな揺れもなく日本海を北上し、海に沈む夕日を眺め、山形県沖、男鹿半島などを過ぎ順調に進みます。
海を眺めながら露天風呂付大浴場でのんびりと汗を流し。レストランで乾杯にスパークリングワイン、魚には白ワイン、肉には赤ワインを飲みながら、ゆったりと夕食のフレンチ・フルコースに舌鼓を打ち、ほろ酔いで自分の部屋に戻ります。Wi-Fiも通じず、スマホをおいて船室でのんびりと夫婦二人で特別の会話もなく、時間が止まったようにゆったりと時間が過ぎてゆくのを感じます。昔の人はハワイにしろヨーロッパにしろ、ゆっくりと船で向かったのだと思いをはせながら、船の揺れに任せて眠ります。
そして翌朝4時過ぎに小樽港に到着です。けっして飛鳥やダイヤモンド・プリンセス号のような豪華客船の旅ではありませんし、16時間ほどの短いフェリーの船旅でしたが、非日常を十分に楽しみました。隠居の身には毎日が非日常ですが、地中海クルーズを夢見ながら。
(令和5年10月号)