勝井 豊
最近パソコンのメール受信欄に心当たりのない着信が多数入るようになった。発信者の名称は、宅配便業者や通信販売業者、クレジット会社、金融機関、役所など様々であるが、実在する企業や公的機関になりすましたものもある。早急に対応しないと当方に不都合が生じたり、処罰されるなどと不安を搔き立てる内容が述べられている。
異口同音のもっともらしい文面であるが、企業などが営業していない深夜や休日に発信されていることも少なくない。また発信者の住所は記載されているが、電話番号は見当たらない点が共通している。うっかりと信用すると損害を招く可能性もあると思われる。
そのようなメールが多数送られてくる背景はよくわからないが、犯罪を目指すものもあれば、単なる愉快犯に過ぎないものなど、さまざまであろうと推測している。ネット上の有害な情報は運営会社が削除しているともいうが、作業が間に合わないのかもしれない。迷惑メールとして自動的に振り分けをする方法もあるとも聞いているが、いずれにせよネット上に無責任かつ有害な情報が多数流れており、ユーザーが自らの判断で自己防衛せざるを得ないのは大変残念なことである。
偽物の情報が文書で流れた場合は私文書または公文書偽造にあたるが、ネット上の偽物情報を取り締まる法律がないのか、あっても有効に機能してないのか、それとも偽物情報を流すこと自体が表現の自由として容認されているのかは門外漢にはわからない。しかしながら、新着メールの大半がこうした偽物情報であるために、ネット社会の健全性が大きく損なわれていることについて、もっと有効な対応がとられてもよいのではないだろうか。
(令和6年4月号)