新潟大学大学院医歯学総合研究科救命救急医学分野
(新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター)本多 忠幸
令和4年より再開しました日本外傷初期診療(JATEC)新潟コースを令和5年5月に9回目の開催が無事修了したことを新潟市医師会会員の皆様にご報告いたします。平成25年より本コースは新潟市医師会のご支援のもと開催しております。
JATECとは、Japan Advanced Trauma Evaluation & Careの略で外傷初期診療を学ぶための講義と実習のコースです。『外傷初期診療ガイドライン改訂第6版』に準拠して様々な重症外傷症例を想定した問題解決型の研修コースで模擬診療やシミュレーター人形を用いた実習を行います。外傷患者を診療する機会のある医師を対象とし2日間にわたって行われます。また、令和4年より開催方式が変更され、変則的な2日間コース(原則として1日目は土曜日、2日目は翌週の土曜日か日曜日)としてリニューアルされました。
具体的には、1日目は「ショック」「頭部外傷」「骨盤外傷」「胸部外傷」「Trauma Imaging(外傷症例の画像評価)」をテーマにしたウェブセミナー形式で講義が行われ、2日目は対面方式で行われます。実習では「外科的気道確保」「胸腔ドレナージ」「心嚢穿刺」「骨髄内輸液」といった手技の習得と、ケースシナリオによる模擬診療が行われます。受講者1人1人が外傷患者の診療と処置を実践し、最後に学習効果を判定するために実技試験をうけることになります。全国規模で展開しており、講師陣は臨床現場で外傷診療や救急医療に携わっている救命救急センターや大学病院の医師が担っております。
新潟コースでは1日目を5月27日に、2日目を6月3日および4日に開催しました。JATECコースの地域開催はその地域の外傷医療ボトムアップが目的の一つですが、今回は初期研修医2年生や専攻医あるいはベテラン医師も含めて新潟県から26名の受講がありました。皆さん全員が優秀な成績で修了しています。対面方式1日目終了後にはコロナ明けでの久々の懇親会も開催されました。講師陣は勿論、県内受講者も多数参加されました。大阪大学医学部救急医学講座の織田主任教授や東京医科大学救急・災害医学分野の本間主任教授の出席も賜り、そこに西山救急医学教授が加わるというたいへん実りある懇親会となりました。
令和6年も新潟コースを開催いたします。新潟開催は10回目となります。開催日は例年と異なり、8月17日ウェブセミナー、8月24日・25日対面方式で行います。新潟コースの受付期間は6月17日から21日となっており、受講申込はJTAECコースのホームページから申し込むことができます。初期研修医2年以上で外傷診療に興味のある方はご応募ください。
新潟コースが開催できるのはひとえに新潟市医師会の皆様方のご理解とご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いします。
(令和6年4月号)