谷 久
五味康祐は芥川賞作家、剣豪小説家、手相、観相学、麻雀、将棋等々で本を書くほどに多才で「オーディオの神様」と言われるくらいオーディオにのめり込み「芸術新潮」等で連載もしました。これを高校、大学の頃に夢中で読みました。
オーディオシステム(LP盤)は針、アンプ、スピーカー他多くの装置から成り、そのどれによっても少しずつ音が変わります。そのうち一番影響力があるのはスピーカー。
その中でも低音スピーカーが一番のようです。五味康祐も迷っている時にある方の勧めと設計により巨大コンクリートホーンを家の壁をぶち破り作ったりしましたが、そのうち、どうもこれはおかしい、音楽を鑑賞する装置ではない、と思い直し、ハンマーでホーンを叩き壊してしまいました。最後にはスピーカーシステムは「タンノイ オートグラフ」に落ち着いたようでした。
こんなので音楽を聴いたりしたために騒音性難聴になったと思っていましたが、戦争末期に陸軍で中国大陸へ行き突発性難聴を患ったとのこと。しかし普通の会話では全く支障無かったとのことですのでやはり騒音性難聴が進んだものと思われます。
私も高校の頃から小遣いでLP盤を買うようになりました。
モノオーラル2000円、ステレオ2300円、(当時ラーメン30円)45才位の時、JBL「パラゴン」を買い、アンプはマッキントッシュとマークレヴィンソン。これでサン=サーンスの交響曲3番「オルガン付き」を聞くと、同じ部屋にあった飾り棚のガラスがビリビリと鳴ったものです。
そのため80才頃から軽い難聴。
友人他曰く「耳も悪いかもしらんが、両耳の真ん中が一番悪いんだろう」と。
(令和6年10月号)