谷 久
私の高校時代に二人の友人の家に立派なスピーカーと棚一杯のSP盤があり、遊びに行っては聴かせてもらっていました。その後まもなくLP盤が出てきて音も良く時間も長く聴けるようになりました。高校へ入ったお祝いにビクターの電蓄を買って貰い、なんとかLP盤とEP盤数枚を買い、繰り返し聴きました。
大学へ入るとナショナル(当時)のプレイヤー、アンプ、スピーカーと別々で、カタログ上では最高のものを買って貰いました。
卒業し自分でなんとか買えるようになり、オーディオ専門店でJBL L101(ランサーイチマルイチ)がすっかり気に入り手に入れました。天板に厚めの白い大理石を戴き前面にはヒノキの組格子。この後、すっかりJBLのスピーカーに魅せられ、「オリンパス」、最終的に「パラゴン」を手にいれたのは45才の時でした。
パラゴン(1957~1983)とT.オートグラフ(1953~1974)はほぼ同時代に制作され、当時の家庭用スピーカーとしては最高級の覇を競ったものでした。オーディオ評論家等の間でも、パラゴン派とT.オートグラフ派がいたようで、「オーディオの神様」と言われた五味康祐氏なども完全にT.オートグラフ派で、パラゴンなどはジャズなどアメリカ音楽を聴くためのスピーカーと迄言っています。
T.オートグラフはオーディオ専門店で2~3回聴いただけなのでコメントは控えますが、あまり好きにはなれませんでした。評論家等のあいだでも、設置場所、アンプとの相性など使いこなしが難しいとの言が多かったようでした。
パラゴンは一台でステレオとして聴けるユニークな設計とJBLの優秀な木工技術で実にホレボレする姿形でした。この技術者の中に日本人もかなりいたようで、この製造を止めるようになった時、最後に残った一人も日本人だったとのことです。
居間兼オーディオルームがL字型でパラゴンと90度の所にTVがあり、TVの両脇にJBLのスタジオモニター434X(最後の型番忘れました)。このスタジオモニターとパラゴンとTVのどれかと、アンプはマーク・レビンソンとマッキントッシュのどちらとでも自由に選べるよう業者に配線して貰いました。パラゴンに関して言えばマッキントッシュの方がどっしりとした良い音を出してくれたように思います。M.レビンソンは音も綺麗で低音も出てはいるのですが、なんか線が細い(?)感じがしていました。
パラゴンの大きさは横2630mm、高さ900mm、奥行740mm、重さ320kg。
両図共、パラゴンの向かって左半分が書いてあります。向かって右半分は全く対照的に設計されて、一台でステレオになります。
(1)Squawker(ミッドレンジ) 中音用スピーカー
(2)Wooferのホーン部分 実物でも艶消し黒塗りです。
(3)Tweeter(高音用スピーカー) (3)、(4)は上図では隠れています。
(4)Woofer(低音用スピーカー) Wooferは内側むきに設置され響板で反射され(2)のホーンへ導かれます。
(令和6年12月号)