谷 久
1)『MISA CRIOLLA』(Laser Disc)
ミサ クリオージャ(南米のミサ)
アリエル・ラミレス作曲、ホセ・カレーラス(テノール)、他にピアノ、パーカッション、風の音を出すための楽器などが、独特の響きを奏で、歌もミサ曲通常のラテン語ではなく、スペイン語が使われています。
ラテン語で歌われるレクイエムなどにモーツァルト、フォーレ、ヴェルディ 他立派な作品がいっぱいありますが、クリオージャにも同じように感銘深いものがあります。
2)『Ave Maria』(CD)
シューベルト、ヴェルディ、バッハ/グノーなどから、バーンスタイン、ピアソラ等々17曲の「マリア」が歌われています。中でも2曲目のジュリオ・カッチーニ「アヴェ マリア」(5分弱)と、13曲目マルタン・ジャック作曲?「Maria」(8分ちょっと)が素晴らしく、いつも2~3回繰り返して聴いています。カッチーニではスミ・ジョーのソプラノが素晴らしく、カラヤンは「神からの贈り物」と讃えています。私も私より10才上だったレオンタイン・プライス以来の綺麗なソプラノのように思われます。
13曲目の「Maria」は演奏?歌?tigerlillies?となっているのですが、作曲、演奏、歌いずれも詳細不明でした。この曲は先のカッチーニとは異なり、絶望の底からマリアを叫び求めて手を伸ばしているように聞こえます。
楽器もドラム缶を叩く様なものがあったり、リズムも通常のAve Mariaとは違う独特の音楽ですがいつも圧倒され、2回3回と繰り返し聴いています。
3)チャイコフスキー『ピアノ三重奏曲(偉大な芸術家の思い出)』(LP)
E.ギレリス(ピアノ)
L.コーガン(ヴァイオリン)
M.ロストロポーヴィチ(チェロ)
モスクワ音楽院の開設者で初代院長そしてチャイコフスキーの親友でもあったニコライ・ルビンシュタインが亡くなった時に楽譜の上に涙を落としながら作曲したとの話が残っています。
偉大な名演奏家三人による偉大な作曲家の作品の名演奏です。
ギレリスの「鋼鉄のタッチ」を彷彿とさせ、他の二人も堂々と渡り合い、まさに手に汗を握るような名演奏です。
なお、L.コーガンの奥さんはギレリスの妹さんです。
4)『美しきアヴェ・マリア』(LP)
クルト・レーデル指揮
ミュンヘン・プロアルテ管弦楽団
シューベルト、ヴェルディ、バッハ/グノー、リスト、ブラームス他 全9曲が入っています。ヴェルディの曲は歌劇「オテロ」の中でデスデモナが歌うアリアです。ソプラノの名演が数多くありますが、この歌詞の入らない演奏も実に綺麗です。
5)『風のメッセージ』(CD)
藤原真里(チェロ)、
プロデュース・編曲 久石 譲
「春の朝」(マーラー)、「イカルス」(ラルフ・タウナー)、「ギリシャの海」(マノス・ハジダキス)、「子熊物語」(チャイコフスキー:「舟歌」)、「イマジン」(ジョン・レノン)、他 全11曲入っていますが、編曲、演奏共に素晴らしく、みんな綺麗ですが、特に「ギリシャの海」が大好きで繰り返し聴いています。
6)このCDはファイザー社から頂いたもので、他に日本ケミファ社創立40周年記念として頂いた「モーツァルト交響曲第40、41番」C.M.ジュリーニ指揮 ニュー・フィルハーモニア・オーケストラがあります。いずれもNot For Saleと印刷されています。
7)『Keyboard Immortal』(15枚組)
これは、蝋管録音等、古い時代からの録音の音の強弱長短その他のデータをvorsetzer(sitter in front)で実際にピアノ(ベーゼンドルファー)を弾かせステレオで録音したものです。弾いているのはドビュッシー、ラヴェル、プロコフィエフ、マーラー、ラフマニノフ、コルトー、ホロヴィッツ、ルビンシュタイン等々10数人の演奏が聞ける極めて興味深い15枚セットでオーディオ専門店の社長さんが非売品ですと言って、くださったものです。
8)フォーレ『レクイエム』(LP)
あまりにも有名な曲で、名演も数多くありますが、大好きな次の1枚をあげるだけにしておきます。
アンドレ・クリュイタンス指揮
エリザベート・ブラッスール合唱団
パリ音楽院管弦楽団
フィシャー=ディースカウ(バリトン)
V.de.ロスアンヘレス(ソプラノ)
アンリエット・ピュイグ=ロジェ(オルガン)
9)モーツァルト『レクイエム』(LP)
これを書くに至った話と共に、もっとも有名です。これは決定的名盤があります。
ブルーノ・ワルター指揮
ニューヨーク・フィル交響楽団
ウェストミンスター合唱団
イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
ジェニー・トゥーレル(アルト)
レオポルド・シモノー(テノール)
ウィリアム・ウオーフィールド(バス)
10)『Rubinstein plays Chopin』(LP12枚組)
アルトゥール・ルビンシュタインがショパンの曲のみ弾いた12枚組のセットです。
ワルツ、夜想曲、ポロネーズ、即興曲、スケルツォ、バラード、マズルカ、舟歌、幻想曲、ピアノソナタの順に入っています。
ピアニストではA.コルトー、このルビンシュタイン、サンソン・フランソワらを好んで聴いていました。
11)ニコラーエワ『珠玉のバッハ名曲集』(CD)
タチアナ・ニコラーエワ(ピアノ)
バッハのいろんな名曲をピアノ用に編曲したものを聴けます。原曲とはまた違った良さもあるように思われます。
有名な「トッカータとフーガ ニ短調」に始まり、「主よ、人の望みの喜びよ」、「シャコンヌ」、「我は主の名を呼ぶ」、「シチリアーノ ト短調」、等々全8曲が入っています。
12)ベートーヴェン『交響曲第九番ニ短調「合唱」』(LP)
W.フルトヴェングラー指揮
バイロイト祝祭歌劇場管弦楽団及び合唱団
E.シュワルツコップ(ソプラノ)
E.ヘンゲン(アルト)
ハンス・ホップ(テノール)
オットー・エーデルマン(バス)
このLPこそ50年近くお付き合い願った名曲名演名盤の最たるものと思っています。それも通して聞くのは年末のみになってしまいました。
3年ほど前に診療をやめ、市内中央区の縦型高層アパートに引っ越しました。ここで一番問題になるのは騒音なんだそうで、モーツァルトもショパンもフォーレも皆騒音かと苦笑しながら我慢をしています。
それにこういう大曲とかマタイ受難曲、ワーグナーの楽劇などを聞こうという体力、気力、熱意がなくなってしまったようです。