関根 理
季節の変化は日本のどこに住もうと、皆が体験するはずである。わが新潟も四季夫々に変化し当然夫々特色はあるわけだが、ぶ厚い雲と強い季節風、そして深い雪に悩まされる冬が厳しく、そして期間も長いだけ、春の到来がひとしお待ち遠しいのは当然であろう。ただ、毎年経験するように、冬から春への変化は一度に訪れるのでなく、“まだか”“まだか”と気をもまさせられる程、ゆっくりやってくるようだ。暖かい風が吹き、お陽様が顔をだして“やっと春が来たね”と、嬉しい顔を見合わせたりすると、翌日からまた数日吹雪だったりなどということは、いやというほど経験してきているはずなのだ。春の気配に簡単にだまされてしまう、こんな経験は幾度も積んでいるはずなのに、気の良いわが新潟人は他愛なくだまされてしまうのだ。こんなことをくり返しているうちに“早春”の時期は過ぎ、桜と白山祭りの本物の春が来てしまっているのだ。それにしても、その頃の新潟の季節は本当に晴れやかだ。そのうち、何か空気が湿っぽくなったと思う間もなく、松の花粉が舞い、樹々の緑が色づく初夏の始まりが近づいてくるのだ。