新津信愛病院
清水 敬三
精神科医として60代を迎え、私は「良い人相」の重要性を改めて感じています。人相は単なる見た目ではなく、その人の内面や生活態度が表れるものです。良い人相を持つことは、患者様との信頼関係を築く上で非常に大切だと思います。
先日、鏡に映る自らの表情の中に、かつて嫌っていた父親の面影を見て驚きました。この年になって、父親の表情や特徴が自分に現れてきたことに気づき、戸惑いを感じました。しかし、これもまた遺伝や環境の影響であり、避けられない現実です。
良い人相とは何かを考えましょう。私の経験では、穏やかで優しい表情、深い思いやりのある目、そして微笑みが自然にこぼれることが重要です。これらは単なる外見の特徴ではなく、心の平和や内面的な充実があってこそ現れるものです。
心の平和を保つためには、自分自身のケアが欠かせません。例えば、適度な運動や健康的な食事、十分な睡眠は心身の健康に直結します。また、精神的なケアとしては、趣味や瞑想、自己反省の時間を持つことが大切です。日々のストレスを軽減し、心をリフレッシュさせることで、穏やかな表情を保つことができるでしょう。
また、他者に対する思いやりや感謝の気持ちを持つことも、良い人相を形成する一因です。患者様や同僚、家族との関係において、真摯なコミュニケーションを心掛けることが重要です。例えば、患者様の話をじっくりと聞き、共感を示すことで、相手に安心感や信頼感を与えることができます。
重要なのは、患者様には良い人相を求めるのではなく、彼らの苦しみに寄り添い、支え、安心感を持っていただく。それこそが本当の意味での「良い人相」を持つ精神科医の姿勢だと思います。
最後に、自分自身の価値観や信念を見直すことも必要です。自分が何を大切にし、どのように生きたいのかを明確にすることで、生き生きとした表情や魅力的な人相が自然と現れるでしょう。
60代という年齢は、これまでの人生経験を活かして、より深みのある人相を持つことができる時期です。精神科医として、心の健康を保ち、他者との関係を大切にし、自分自身の成長を続けることで、良い人相を目指していきたいと思います。