佐々木 壽英
魚沼市大白川は新潟県でも有数の豪雪地である。この大白川の奥にある破間(アブルマ)川ダムで、春の風物詩「雪流れ」が見られる。
近年は暖冬により積雪量が少なく、昨年は雪流れが発生しなかった。しかし、2025年は例年になく積雪量が多く、春の気温上昇など好条件も重なって、迫力ある景色が期待できるという新潟日報の記事を見て、4月12日に破間川ダムを訪れた。
新潟市を朝5時に出発、小出の魚沼インター経由で、大白川を目指した。天候は曇りで朝日は望めず、期待した霧も出ていなかった。しかし、破間川ダムには雪の塊が湖面を埋め尽くしていた。最奥の赤い浅草大橋横の広い無料駐車場に停車して、6時39分から撮影を開始した。
積雪量が多く、道路から背伸びをしてやっと湖面を見ることができる程であった。撮影場所は浅草大橋とダム沿い道路の3か所に限られた。そこで、浅草大橋近くの高台に登り、何とか湖面全体を撮影することができた。
私は、2018年に3回「雪流れ」を撮影している。3月27日と31日は晴天で早朝の太陽光に輝く雪流れを、4月8日は吹雪の中の雪流れを撮影した。それぞれ全く違った状況での撮影であったが、趣のある写真を撮ることができた。中でも吹雪の中の赤い浅草大橋と雪流れの写真に魅力を感じている。
「雪流れ」のメカニズムを検索すると、「冬季間に水位が低下した湖面の氷の上に数メートルの雪が積もり、春の気温上昇で大量の雪解け水がダム湖に流れ込み、ダムの水位が上がると湖面の雪が塊となって水面に浮かび上がってくる現象」と一般的には解説されている。
しかし、2018年の画像を見ると、湖面に浮かぶ雪の塊が湖底から浮き上がったものばかりではないことに気が付いた。ダム湖周辺の斜面に積もった雪が雪解けによりブロック状に割れ、湖面に流出する様が各所に見られた。湖面に浮かぶのは、湖底から浮かび上がったものに加えて、雪流れ後半の時期にはダム湖周辺の斜面から雪の塊が補充されていることが分かった。
2021年に製作した写真集「大白川」の中には「雪流れ」の写真20枚を載せている。今回は、「雪流れ」だけの写真集を製作するために、2018年撮影画像を現像し直し、2025年撮影画像との中から70枚を厳選して写真集「破間川ダムの雪流れ」として纏めてみた。
(令和7年7月号)
浅草大橋からの「雪流れ」 4.12.am6:39.
浅草大橋と「雪流れ」 2018.4.8.
湖面に流出する岸の雪ブロック 2018年