佐々木 壽英
蔵王は何といってもスキーであり、樹氷である。現役時代は、外科のスキー旅行で上山温泉に宿泊して、蔵王へは何回も通った。
退職後は、主に樹氷撮影を目的に、厳冬期の2月に3回、3月に1回、蔵王を訪れていた。
蔵王山麓駅から樹氷高原駅経由でロープウエイを乗り継いで、山頂駅へ向かう(写真1)。
スキーの時は、樹氷には目もくれず、山頂駅からすぐにザンゲ坂を下り、各スキー場へ向けて滑ったものであった。
写真撮影では、山頂駅で蔵王地蔵を拝んでから樹氷の撮影に取り掛かる。
樹氷撮影はその日の天候に左右される。
快晴の日は、山頂駅近くの樹氷群に目を奪われてしまう。先ず、広い樹氷群を入れての景色から撮影を開始する。次第に範囲を狭めて樹氷の配列や形に注目しながら撮影する。
時には、山頂からの樹氷間滑降を目指すスキーヤーたちが、スキーを担いで山頂目指して登る姿を目撃することもある(写真2)。
完全に雪を纏った木々はそれぞれが特徴ある姿で自己主張をしている。特徴ある樹氷を見つけるために、樹氷群の中へ踏み入るのも楽しい。美しい乙女像(写真3)やペンギン(写真4)などを発見する楽しみもある。
樹氷群に霧がかかり、雲の切れ目から光が差し込むと、全く別の世界が展開される。
日陰の樹氷群をバックに、手前の特徴的な樹氷を強調する撮影方法も面白い(写真5)。
逆に、手前の日陰になっている樹氷群が群衆に見えてきてシャッターを切ったのが写真6である。その中の一人が立ちあがって群衆に向かって語りかけている。あたかもマタイ福音書の中のキリストが「山上の垂訓」を説いている姿に見えてきた。
そこでタイトルを「雪上の垂訓」として2011年の第36回日本写真家協会JPS公募展に応募し、優秀賞を受賞した。
ゴンドラ山頂駅近くの樹氷撮影が終わると、周囲の樹氷の景色を楽しみながら細いザンゲ坂をボーゲンで滑り降りる(写真7)。一気に滑り降りるには勿体なくて、時々足を止めて樹氷群を撮影しながら下のゲレンデへと向かう。
春になると西蔵王高原の大山桜を撮影するのも楽しみである。蔵王温泉の下で蔵王公園線を西に向かい、途中で西蔵王高原ラインに入り野草園を過ぎると西蔵王牧場入口が見えてくる。
この牧場のオオヤマザクラは、平安時代から自生しているという。野生種である大山桜の巨木は標高600mの高地にあるため、桜の満開時期はゴールデンウィーク頃となる。
ここの桜を撮影する目的で2014年5月2日と2015年4月28~29日の2回通った。
大山桜の巨木(写真8)は広い放牧場の各地に散在しているので、これらを撮影して廻るには、かなりの距離を歩かなければならない。
最早、これらの大山桜を撮影する体力は残されていない。

写真1 樹氷の中のゴンドラ

写真2 山頂を目指して

写真3 乙女像

写真4 ペンギン像

写真5 霧湧く日陰の樹氷群をバックに

写真6 「雪上の垂訓」県展2000 入選

写真7 ボーゲンでザンゲ坂を下る

写真8 西蔵王牧場の野生オオヤマザクラ
(令和8年2月号)