加藤 俊幸
歌は歌い継がれることでスタンダードとなり、永遠の命を授けられるという「The Covers」は、13年目を迎える好きな音楽番組である。耳馴染んだ名曲に敬意を表しながらも歌手やアレンジが変わることで、同じ曲でも新鮮な感動を聴くことができる。JAZZなら「スタンダードならこれを聴け!」と特集が組まれるほど普通である。その昔、1985年のグラシェラ・スサーナの澄んだ歌声が好きだった。今でも、その歌と共に青春の甘酸っぱい懐かしさも感じる。
「カバソン」の先駆けは、2005年から徳永英明の「VOCALIST」が続き、2010年には「男が女を歌うとき」「女が男を、、、」などが好評となり、多くのシリーズが出た。手元には徳永英明の「VOCALIST」8作、坂本冬美の「LOVE SONGS」(2009)が5作、稲垣潤一らのデュエット「男と女」(2008)が5作、八代亜紀の「夜のアルバム」(2011)など5作、高橋真梨子の「オトコゴコロ」(2009)など4作、島津亜矢の「SINGER」(2010)3作。Chris Hartの「Heart Songs」(2013)4作、小野リサの「Japao」(2011)3作などが心地よく、ボサノバやラテンに編曲されたり、ポルトガル語で歌われたりと楽しい。
曲名なら黄昏のビギンが10曲、永六輔と中村八大による傑作。次いでシルエットロマンス9曲、ワインレッドの心8曲、秋桜6曲、オリビアを聴きながら6曲、なごり雪、駅、酒と泪と男と女、ラブストーリーは突然に、元気を出して、見上げてごらん夜の星を、翼をください、言葉にできない、時の過ぎゆくままに、卒業写真と続く。歌手自身が影響を受けた名曲をそれぞれの持ち味でカバーし、新しい命を吹き込んでいる。どれを聞いても名曲で、新しい味わいと懐かしさがある。
「カバソン100」では、I LOVE YOU、少年時代、糸、雪の華が上位を占めており、まだ知らないアルバムの今後の試聴も楽しみだ。
(令和8年4月号)