新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター
特任准教授 本多 忠幸
昨今、世界情勢はかつてなく緊張の度合いを増し、その影響は物価高にとどまらず医療機材の流通にも及んでおります。会員の皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
令和7年8月、第11回日本外傷初期診療(JATEC)新潟コースを開催いたしましたのでご報告申し上げます。本コースは平成25年より新潟市医師会のご支援のもと継続して開催しております。
JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation & Care)は、外傷初期診療の標準的手法を習得するための講義および実習からなる研修コースであり、『改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC』に準拠しています。重症外傷症例を想定した問題解決型のプログラムで構成され、模擬診療やシミュレーターを用いた実習を通じて実践的能力の習得を目指します。対象は外傷診療に従事する医師であり、2日間にわたり実施されます。1日目は「ショック」「頭部外傷」「骨盤外傷」「胸部外傷」「Trauma Imaging(外傷症例の画像評価)」をテーマとしたWeb講義、2日目は対面形式での実習となります。実習では「外科的気道確保」「胸腔ドレナージ」「心嚢穿刺」「骨髄内輸液」などの手技習得に加え、ケースシナリオに基づく模擬診療を行います。最終的には筆記試験および実技試験により学習成果を評価します。講師は全国の救命救急センターおよび大学病院に所属し、外傷診療に従事する医師が担当しています。
今回の新潟コースは、1日目を8月16日、2日目を8月23日および24日に開催いたしました。地方開催の目的の一つは、地域における外傷診療の底上げにあります。今回は初期研修医2年目を中心に、新潟県内から24名(定員32名)の参加があり、全員が良好な成績で修了されました。本コースが新潟県における外傷診療の質の向上に寄与できたものと考えております。
令和8年も引き続き新潟コースを開催予定です。昨年同様、真夏の開催となり、8月15日にWeb形式セミナー、8月22日および23日に対面実習を実施いたします。受講申し込みはJATECコースホームページ(https://www.jtcr-jatec.org/index_jatec.html)より可能で、新潟コースの受付期間は6月15日から19日までとなっております。初期研修医2年目以上で外傷診療に関心のある先生方のご応募をお待ちしております。
コース運営には、責任監督者であるコースディレクターおよび運営を担うコースコーディネーターが必要です。コースコーディネーターは出内主基先生と筆者が担当しております。コースディレクターは、東京医科大学救急・災害医学分野の本間宙教授(村上市出身)および新潟市民病院救命救急・循環器病・脳卒中センターの佐藤信宏副センター長が務めております。佐藤先生は令和7年より就任されており、新潟県初のコースディレクターとなります。これは本県における外傷診療体制の成熟を示す一つの成果と考えております。
新潟コースの開催は、新潟市医師会の皆様のご理解とご支援によって支えられております。ここに深く感謝申し上げますとともに、今後ともご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げます。


(令和8年5月号)