佐々木 壽英
山形県小国町には魅力的な風景写真の撮影地がある。春には、玉川沿いや梅花皮山荘周辺の桜と樽口峠の一本桜、秋には、赤芝峡の紅葉、温見平や健康の森のブナ林の紅葉などである。
これらを撮影するために、2005年4月ころから足繁く通ってきた。
2005年11月11日、小国に入って玉川の支流足水川の新田橋近くで、杉林の光芒に出会った。
朝8時頃、うっすらと霧がかかった杉林に幾筋もの光芒が掛かっていた。初めての光芒撮影で興奮しながら撮影した。タイトルを「朝霧のシンフォニー」として2006年の県展に応募して入選した(写真1)。
「光芒」を広辞苑で引くと「光のほさき。すじのように見える光」としか載っていない。「一閃(いっせん)の光芒」という例が一つ記載されているだけであった。
光芒は、太陽の光が雲や霧などに散乱して光の筋のように見える自然現象のことである。
空高く広がる雲の切れ目から太陽の光の筋が柱のように降り注ぐ様を「天使の梯子」と呼ぶのも光芒である。
地上で光芒を引き起こすのは主に霧である。写真撮影をする者にとって光芒は魅力的な被写体である。光芒は何処でも見られる現象であるが、光芒撮影において重要なのは、気象条件と撮影場所、そして適切な時間帯である。
私は朝の撮影が多い。朝の光芒撮影の条件は、朝霧の出現とその濃さであり、太陽が昇り低い位置からの斜光、そして光芒が出現する周囲の景色が美しいことも重要となる。
写真1の「朝霧のシンフォニー」を撮影してから、小国町で杉林の光芒を撮影してきたが、これはという光芒に出会うことは少なかった。
それからは、小国町のブナ林の紅葉を撮影することが多くなってきた。
赤芝峡の近くの道の駅「白い森おぐに」の先を右折して「朴の木峠」まで登ると、東向き斜面の山頂に美しいブナ林が出現する。これが「健康の森」のブナ林である。
2015年頃までこの「健康の森」ブナ林の紅葉を撮影するために通ってきた。いつも日の出前には健康の森に到着するようにしてきた。
この健康の森のブナ林の紅葉も写真2のように素晴らしい。
朝日に浮かぶブナ林を撮影していて、その光芒の魅力に取りつかれ、特に2014年はブナ林の光芒撮影に夢中になった年であった。
早起きをすれば、誰もが美しい光芒という三文の徳を得られる訳ではない。美しい光芒が出現する気象条件の時間帯に、その場所に三脚を立てていなければならない。
光芒写真(写真3から8)を次に載せておく。
美しい光芒は解説抜きで見て頂きたい。
ここでは、写真3から8までの光芒写真を撮影時間順に並べて展示している。これを見ると、朝の5時台から8時半の間に光芒の色が微妙に変化していることが分かる。矢張り色彩の濃い日の出の頃の光芒が魅力的である。
広いブナ林の中では、霧の濃さと太陽光線の方向によって、条件がそろえば何処でも光芒が起こっている。どの時間帯に、何処でその光芒を写真に収めるかは撮影者の判断である。
光芒撮影には場所選びが最も重要であるが、場所を決めて三脚を立てたとしても、カメラの位置が上下左右数センチ違うだけで光芒の写真は全く別のものとなる。そこが光芒を撮影する時の魅力でもある。

写真1 朝霧のシンフォニー 2005.11.11. 8:03

写真2 健康の森、ブナ林の紅葉

写真3 2014.9.21. 5:29

写真4 2014.10.12. 6:48

写真5 2014.10.12. 6:56

写真6 2014.10.25. 8:06

写真7 2014.10.12. 8:07

写真8 2014.10.25. 8:34
(令和8年9月号)