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新潟市医師会報より

新潟市医師会

人口減少時代に産婦人科医ができること

山本 泰明

先日、産婦人科医会研修会で平成26年度の17歳以下の妊娠が、全国で9,422人と知りました。このうち妊娠中絶したのが6,555人、出産は2,867人だそうです。新潟市における平成25年度年間出生数が6,374人であることと比べても、17歳以下での妊娠中絶数の多さがわかります。大変な衝撃を受けました。このなかで、17歳の妊娠は5,197人、出産は1,914人、そのうち3人は3回目の出産とのこと。もっと若い14歳以下の妊娠は346人。うち、出産に至ったのは43人でした。

日本では高校生が妊娠・出産した場合、ほとんどが退学となります。在学中に妊娠した場合、学業を中断せざるを得ないことから、学業の再開困難、そして就職困難へとつながります。家族などの支援が受けられない場合、思春期妊娠が貧困に直結するケースが多い事も改めて認識させられました。

新潟市内でも、思春期妊娠は一定数見受けられます。私のクリニックにも、中学生で妊娠して受診した人や、母親と来院し、妊娠が判明すると退学になるからと、どんどん大きくなるお腹を太っただけだと言い続け、がんばって卒業し無事出産した高校三年生もいました。世間的には早すぎると思われる妊娠出産でも、ご両親や相手の理解、援助を受けることができ、育児が一段落した時点で学業復帰を果たすなど、幸せにその後の人生を送っている人もいます。しかしながら、そのような恵まれたケースはごく一部であり、大半は望ましくない方向に進むケースが多いことは、想像に難くありません。

前述のように思春期妊娠の実態は驚く数字でありますが、性感染症についても今また問題となっています。エイズが減らない国、日本。また最近では、過去の病気と思われていた梅毒の蔓延が問題視されています。全国ベースでは年間600~800人で推移していたものが、2011年から増加傾向にあり、2017年には5,770人と9.5倍に増えています。うち、新潟県内の感染者は31人でした。感染者の内訳を見ると、特に若い女性での感染が増えています。妊婦が罹患した場合、先天梅毒という重大事態を引き起こすことがあり、若年層にこういった情報を伝えることが重要です。

性感染のひとつ、HPV感染は子宮頸がんの原因と言われています。性器クラミジア感染症は毎年新たに45万人以上に発生していると推計されており、不妊症の原因の一つになります。淋菌感染症では耐性菌が増え、有効な抗生物質が減ってきているのも世界的な問題となっています。

こうした点から、改めて現状に合った性教育の見直しが必要と考えます。性教育とは、人が生きていくうえで避けられない「性」に関して、科学的な知識を教えることです。望まない妊娠そのものは、妊娠可能な女性であればどの年代でも起こりうることではありますが、思春期妊娠の場合、知識の欠如が大きな要因のひとつとなっています。

「性」を知ることは自分自身と相手を理解することであり、自分を守るための知識となります。「性」は様々な感性が刺激され、エロティシズムと切り離せないテーマでもあるため、教育側の躊躇があったり、子供に教えるタイミングに関して意見の相違が見られたりもします。また、「いつの間にか何となく自然に知ってしまうものだから」と、教育する必要性をあまり認識していない人もいるかもしれません。

青森県では中・高校に地域ごとに産婦人科校医が割り当てられていて、学校の規模によらず全ての学校に産婦人科医が出向き、性教育を実施しているそうです。新潟市でも、2高校において産婦人科医師が出向き、性教育に関する講演会を実施している実績があるとのことで、少し安堵しましたが、こういった活動をもっと広げて行く必要があるのではないでしょうか。

正しい知識を専門医師が科学的に伝えるメリットのみならず、産婦人科医師が生徒さん達に直接顔が見える距離で話をすることが、産婦人科医師に対する漠然とした不安、心配、恐怖の軽減につながるかもしれません。そして、産婦人科クリニックが、健康や人生設計について気軽に相談できる窓口として若年層でも受診しやすい存在になることで、望まない妊娠を極力避けられたり、感染症の蔓延を防ぐ一助となることを望みます。出生率低下が深刻な今、性教育の充実を図ることは、地域の活力を上げるために、産婦人科医が担える役割のひとつでもあると考えています。

(平成30年5月号)

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