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新潟市医師会報より

新潟市医師会

自転車についてのお話

細 野 浩 之

自転車がブームのようです

朝の通勤の道路、やすらぎ堤、海岸道路などどこでも、最近では自転車がいっぱい走っています。「環境にやさしい」「健康によい」「運動不足解消」とされ、多くの国で自転車の普及に乗り出しています。世界保健機関(WHO)は、世界の死亡原因は「運動不足」が喫煙に次いで2番目だとして自転車利用を推奨しています。英国の自転車や徒歩の移動を推進する団体「サストラン」は、自転車は購入などにかかったお金の20倍の恩恵が、医療費や交通費の削減などで得られるという報告書を発表しています(ちょっと大げさのようですが)。通勤でも車のように渋滞はないし、公共交通機関のように待ち時間はないし、移動時間は自動車とあまり変わらなく速い。自転車は徒歩に比べてエネルギー効率は3~4倍も高く、速度は4倍も速い。最近のガソリンの値上がり、健康志向などもブームの追い風になっているようです。通勤しながら周りを見渡すと、ストレッチ素材のスーツを着て、メッセンジャーバックを背中に、クロモリバイクで颯爽と走る若者、ママチャリでゼーゼー荒い息をしながら万代橋を渡る中年おじさん、高校生もたくさん自転車で通学しています。

少し前まで低迷気味だった世界の自転車市場は2009年以来、毎年10%を超える勢いで拡大し、過去20年間で倍増しています。年間1億数千万台が生産され、世界で10億数千万台が使われて庶民の足として定着し、人類の数人に1台は保有していることになっています。ひとり当たりの自転車保有台数は、自転車統計要覧によると、トップがオランダの1.09台。全国民がひとり1台以上もっていることになります。ついで、ドイツの0.85台、デンマークの0.78台、ノルウェーの0.69台。日本は0.68台でスウェーデンとともに5番目になります。ただし総保有台数でみると、人口が多い中国が当然トップで4億5000万台を超えています。自転車ブームは、さらに電動(アシスト)自転車へ引き継がれています。個人的には足腰の弱った人には非常に便利なママチャリ自転車と思っていたら、ヨーロッパではe-bikeとしてマウンテンバイクやロードバイクなどにも波及してスポーツ競技も考えられているようです。自転車業界の調査機関「バイクリサーチ」の予測によれば、2012年の電動自転車の販売台数は世界で3000万台を超える見通しで、市場は2012年から2018年の間に年平均7.5%の割で拡大し、2018年には4700万台を超えるとのことです。

人気をよぶ自転車って、健康に良いの?

しかし自転車は結構ずくめではないらしい。都市部の自転車通勤は肺や心臓に負担が大きいとする調査報告がありました。自転車と徒歩で通勤する各5人を選んで痰を採取、そのなかの炭素量を比較したというもの。自転車通勤者の肺の中には、徒歩通勤者に比べて2.3倍も炭素が多いとのことで、炭素は、主として自動車の排ガスから放出される煤の微粒子だとされていました。この煤が、肺機能を低下させ心臓病を招く原因にもなるといい、「交通が混雑する大都市で自転車を乗り回すのは、炭坑で働くのと同じ影響がある」とのことです。またほかの報告でも「大気汚染のなかで自転車に乗るのは心臓病の発生を助長する」と警告があり、その危険度は、高血圧や高コレステロール血症よりも低いが、受動喫煙ぐらいの影響はあるとみられています。

自転車乗って健康なの?

自転車乗りに興味深い障害が起きる話をひとつ。それは骨粗鬆症です。ただし自転車競技選手の話です。通勤や週末の遠出程度の一般の自転車愛好者には、心配はほとんどないそうです。自転車競技選手と聞くと、競輪選手のようながっちりして、足が太いイメージがあるかもしれませんが、山の坂道を上ることを得意としている選手は体脂肪は3%以下で、無駄な筋肉はなく、細く痩せて、足のふくらはぎも女の子の足みたいにスラッとしています。昨年のツール・ド・フランスの優勝者なんて、身長186cmに対して体重67.5kgと手足も極細。レーサーのレース中の生活はひたすら自転車のペダルをこぐこと。練習でもレースでも。あとは食べて、寝て、マッサージを受けて休息すること。そんな生活を10カ月くらい続けています。そんな選手についての話です。

自転車競技選手に骨折が多いことは、舗装道路を高速で走って落車すれば、骨折しても不思議はないと片付けられていました。しかし、レーサーの骨折があまりに多いので、精密検査をしてみたとのことです。その結果、ベテランの選手ほど骨密度が異常に低く、若年性骨粗鬆症にかかっている選手も多いことが明らかになりました。有力選手の骨密度が2割ほど低くなって、高齢者なみに骨がスカスカになっていたというから、驚きです。またレースシーズンを終えたばかりの選手を調べたところ、背骨や腰骨の骨密度が低く、他種目の運動選手と比べても明らかに骨折事故が多くなっていたとのことです。自転車競技選手に特有で、自転車競技も含まれているトライアスロン選手も陸上選手と変わらず骨密度はあまり低くないそうです。過酷なロードレースで体が鍛えられ、当然骨も丈夫と信じられていただけに、「20代男性の骨粗鬆症は衝撃的だった」としています。この骨粗鬆症の理由が、自転車競技選手は「運動不足」だというのです。自転車競技の場合はなめらかな舗装道を走るために、骨への衝撃が少なく、運動量は大きくても、骨は鍛えられていなかったという状態になっていたとのことです(骨にとっては運動不足?)。なんと有力選手ほど骨粗鬆症であるなんてびっくりでした。

サッカーもいいけれどサイクルロードレースはいかが?

この原稿が会報に載るころは、ワールドカップサッカーロシア大会の真っただ中です。しかし7月になると世界最大の自転車レースが始まります。世界最大の自転車レース、「ツール・ド・フランス」です。21日間にわたって、200人弱のレーサーが毎日200km前後を走り、多い時で4,000m程度の坂を上ります。そして合計3,500km弱を走りぬき、総合タイムを競うものです。風光明媚な美しいフランスの風景の中、過酷な条件のもと、駆け引きをしながら、選手は身や骨を削って(骨を減らして)ペダルを回し続けています。ダイジェストもやっていますのでサッカーの試合の合間にご覧ください。

ウォッカでやけ酒もいいけれど、ボルドーワインを片手にツール(旅)はいかが?

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