八木澤 久美子
少し前のことになりますが、昨年12月16日、この1年間のコロナウイルス感染対応について、新潟市議会と新潟市医師会との意見交換会が市役所で行われました。浦野会長がこれまでの経緯を発表されました。このコロナウイルス騒動が突然やってきたこと、診療所向けマニュアルの作成、行政や学会からの情報収集、各種アンケートの実施、新型コロナ相談外来の設置、開業医向けPCR検査室の斡旋、ホテル療養自宅療養のオンライン診療担当医の募集、療養担当医用マニュアル作り、県の入院患者受け入れ調整センターとの連携作り、オール新潟でのサポート体制構築、各種オンライン研修会開催、予防接種のマニュアル作り、集団接種会場の出務医師の募集などです。ざっと挙げましたがひとつひとつ大変でエネルギーを要する仕事でした。この発表を新潟市議の方たちは机から体を乗り出すように集中して聞いておられたのが印象的でした。それもそのはず、地元の市民からこの先コロナはどうなるんだ、という質問を日々受けているのだが、自分たちは専門職でないため返答に困ることが多々あったのだとおっしゃっていました。この一年間で浦野会長、岡田副会長が夜に日に奮闘なさっている姿を間近にみてきた私にとってはぐっと胸が熱くなるものがありました。これらの活動がそれなりの成果をあげたことは浦野会長の強いリーダーシップ、岡田副会長のきめ細やかな配慮なしには考えられません。
私においては追いついていくのがせいいっぱいで、自分の力の無さに申し訳なく思っています。日常業務ですら忙しいところにワクチン予約業務、自院でのワクチン接種、集団接種会場での業務、ホテル療養自宅療養の患者さんたちへの慣れないオンライン診療で昼休みなく、夜も遅くまで仕事が続くという日も多々ありました。そもそも聴診器も使わず肺炎が診断できるものか、と考えていましたが、体温、酸素飽和度のデータと患者さんの電話での息使い、話し方などでいろいろなことがわかるものだ、と新たな経験をしました。
さて本稿を書いている現在は第6波の最中です。感染力が強く、日々発表される感染者数の多さに驚かされます。行政側の対応も日々更新され、追いつくのが大変です。こんな時、浦野会長、岡田副会長が設けてくれた関係医師間のメーリングリスト上での意見交換にどんなに助けられていることでしょう。感謝の気持ちでいっぱいです。これは私だけではないと思います。とかく内科医の仕事は孤独でありますが、皆さんと繋がっているんだ、と思うと頑張ろうと気力がわいてきます。行政側との連携もスムーズです。オール新潟でやっていこうという浦野会長の言葉に支えていただいている日々です。
話は変わって、これまでの感染症の歴史を簡単にみてみます。聖書にも書かれているハンセン病、1330年ペストの大流行、1495年梅毒、古くから存在していた結核、1918年スペイン風邪(インフルエンザ)の大流行。どれも収束はしてはいますが、終わっているわけではありません。これら感染源たちと私たち人間が折り合いをつけていると思われます。
はてさてこのコロナウイルスとの闘いの結末はどうなるのか、日々、目の前のできることをきっちりやって、迎え撃つことしかできません。みんなでオール新潟で力を合わせ乗り切りましょう。