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新潟市医師会報より

新潟市医師会

新潟市子ども条例が施行されました

佐藤 勇

4月1日、子どもの権利を守りその育ちを支援するために「新潟市子ども条例」が施行されました。その基盤には、「子どもの権利条約」があります。「児童の権利に関する条約」として、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。1989年の国連総会で採択され、1990年に発効しましたが、日本が批准したのは1994年でした。158番目の批准国となりました。当時私は大学に勤務しており、学生に、なぜ日本は批准しないのかと話したことを覚えています。この条約の制定により、5歳未満の死亡率は低下し、危険な労働を強いられている子どもの数も減少しました。現在は196の国と地域が締約しています。なんとロシアは1990年に批准しています(ちゃんと守って下さい!)。アメリカは、未だ批准していません。その理由は諸説あるようです。

日本政府が批准した後、各自治体で「子どもの権利条約」の考え方を取り入れる動きが出て、独自に「条例」をつくることで、それぞれの地域にあった形で浸透させようとしてきました。川崎市は2001年に条例を施行しました。「川崎市子どもの権利に関する条例─各条文の理解のために─」の中に、次のような説明が記載されています。「子どもの目線に立って、保証されるべき権利をかみくだきながら現実生活の中で活かし実現していく作業こそが自治体に求められており、しかも自治体でしかできない役割ではないか」この表記に、おもわず拍手を送ってしまいます。青森市は、市の総合計画の一部として2012年に「青森市子どもの権利条例」を制定し、「子ども自身の参加により、子どもの権利条約を制定し、子どもの権利尊重についての明言化を図ることとしました」と述べています。青森市のホームページでは、実態調査として、市職員が実際に学校などを訪れて、児童生徒や保護者の生の声を集めたと記載があります。自治体が地域の未来を見据えた長期プランを、子どもたちの声も取り込みながら行っているとしたら、素晴らしいことだと思います。

国連の「子どもの権利条約」では、国は批准してから定期的にこれまでの取組について国連に報告し、国連から改善勧告を受けます。2019年、国連の児童の権利委員会から「日本の第4回・第5回政府報告に関する総括所見」が出されています。婚姻開始年齢が18歳に引き上げられた民法改正、児童の保護等に関する法律改正、などを評価する一方、差別の禁止、児童の最善の利益、体罰、家庭環境を奪われた児童、生殖に関する健康及び精神的健康、少年司法などについての改善勧告を詳細に述べています。

児童の最善の利益の項目では、「最善の利益が第一次的に考慮されるべき児童の権利が、特に教育、代替的監護、家族争議及び少年司法において適切に取り入れられず、また、一貫して解釈及び適用されていないこと、並びに、司法、行政及び立法機関が、児童に関連する全ての決定において児童の最善の利益を考慮していないことに留意する」と記載があります。何やら翻訳らしいまわりくどい表現でわかりにくいのですが、要保護児童などに関する会議で検討される事例を思い浮かべると理解ができます。私は新潟市の要保護児童対策地域協議会に出席していますが、ここで議論されることが、全体的な統計的事実ばかりなので、実態を知りたく、西区の実務者会議にオブザーバー参加しています。そこで報告される事例では、地域の行政や民生委員などの人たちが、なんとか子どもを守ろうとしても、親権や様々な条件から子どもを救い出しきれない現状が時に見られます。

この項目の最後には、「児童に関わる個別の事案で、児童の最善の利益に関する評価が、多職種から成るチームによって、児童本人の義務的参加を得て必ず行われるよう勧告する」と結んでいます。児童の参加をどう保証するか、とても大切な課題だと思います。別の項目では、2016年に児童福祉法が改正され、児童の意見の尊重に言及していることを留意しながらも、あえて、「委員会は、自己に関わるあらゆる事柄について自由に意見を表明する児童の権利が尊重されていないことを依然として深刻に懸念する」と述べています。虐待されている子どもでも親を頼ります。そうでないと生きてゆけないから。そういった子どもに自由に意見を表明させるためには、何が必要か、重要な課題です。

新潟市子ども条例は施行されましたが、これは成育基本法と同様に理念としての裏付けを得たに過ぎません。今後、市は子どもへの周知や子どもの権利推進委員会を設置するなどを予定しています。私は以前から、子ども子育て会議などに中高生などを参加させられないかと思っていました。少子化の中で、子どもたちの意見に耳を傾け、むしろ発言しにくい子どもたち(ヤングケアラーなどは代表だと思います)の意見をどう吸い上げるか、この条例推進に大きな期待を寄せています。

(令和4年7月号)

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