監事 荻荘 則幸
新潟市医師会理事を10年間、その後、現在、監事を3年間勤めさせて頂き、14年目を迎えます。
この13年間の経験は、佐野会長、藤田会長、浦野会長をはじめとする役員の先生方や他科の先生方からの御指導や、行政、事務の担当の方々との交流を通して、とても実のある充実したものでした。
この間、自分が“何をしてきて、何ができた”のかを振り返ってみたいと思います。
整形外科一次救急に関して、前任の理事の浅井忍先生がそれまで4年間、新潟市急患診療センターの移転、整備に関して精力的な仕事を行っていた後を継ぎ、2010年より理事に就任しました。
前新潟大学整形外科教授、現在県央基幹病院での救急医療整備を進めている燕労災病院長の遠藤直人先生、川島寛之医局長(現、教授)の協力のもと新潟市整形外科一次救急の整備拡充に努め、時に新潟市整形外科医会の会長の自宅で夜、膝を付き合わせ直談判して6年かけ新潟市の一次救急のシステム構築を行ない、市内の整形外科医約100人の合意形成を得ました。
その後、整形外科二次救急の拡充にはなかなか厳しい問題があり、当初の2008年の二次救急の開始から13年かけ、2021年7月に新潟市救急医療体制あり方検討会(整形外科部会)を立ち上げ、済生会新潟病院の山際浩史先生に座長に就任して頂き、整形外科各二次病院の意見集約、協議を依頼し、多大なるご尽力の下、長年の懸案事項だった夜間の整形外科二次救急診療が制度として実現しました。しかし、整形外科だけでなく全科の救急医療は、2024年医師の働き方改革、残業規制、地域医療計画の整備等で存続の危機を迎えますが、今後、全科の横断的、総合的ビジョンが求められ、行政のより一層のリーダーシップと共に財政的な裏付けも必要となります。
運動器検診に関して、2016年に新潟市の独自方式による学校における運動器検診の開始は、新潟市教育委員会、新潟大学、地域の病院・診療所に多くのご協力を頂きました。現在コロナ禍で実際に学校に出向く件数が減少しています。側彎症のみならず今後四肢の障害の発生を防ぐ観点からも重要な検診です。新潟市方式の運動器検診は開始前の約3年間の教育委員会、新潟大学とその関連病院との運動器検診検討委員会での協議の賜物で、最終的に医療費の抑制につながることも分かりました。
警察活動に協力する医師不足、また医師の待遇の問題にも関わらせていただきました。県内約30か所の警察署においては嘱託医の高齢化が進み、また、身分補償等の課題や、多死社会に対する対応や、大規模災害等への体制を作る事が課題でした。警察医は死体の検案や死因究明に初期の大切な役割を担っているにもかかわらず、警察署の産業医も兼ねており、一層、業務が加重負担になっています。日本医師会、新潟県医師会の今後の方向性が注目されています。
その後、医師会監事として新潟市医師会の各種、細則、規程の見直し、急患診療センターの指定管理者制度等いろいろな分野を勉強させて頂きました。
2022年、令和4年6月28日の代議員会では、新潟市医師会の令和3年度の決算書に対し、約20分間意見を述べさせて頂きました。医師会の発展のためにも是々非々で今後も意見を述べていきたいと思います。
平成25年に医師会が公益法人制度改革で一般社団法人となり、会計基準が、変わりました。平成25年までのそれまでの長きに渡る医師会の財政の内部留保を公益目的にこの9年間支出してきています。今後、現在のいわゆる移行法人から内部留保がなくなる今後10年以内に、正式な一般社団法人になると、いままでよりは分りやすい予算書、決算書を作成できます。
新潟市医師会の仕事の主なものは、救急、健診(検診)、予防接種、介護保険、障害者総合支援法、スポーツ大会の医事支援、等ほとんどが、現業部門でその大半は行政からの委託事業です。市民のために新潟市と協力し事業を進めていくことはとても大切ですが、会費を納めているステークホルダーの会員にもっと直接的にメリットを実感できる事業展開が期待されます。浦野会長の発案で令和4年7月から、立ち上げられた、新潟次世代医療科学研究協議会(N[EXT]A)は、今後、医師会の存在感を示す中心的なシンクタンク構想として多方面から期待されています。
今後も監事として微力ですが、少しでも役に立てれば幸いです。
(令和5年1月号)