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新潟市医師会報より

新潟市医師会

いつでも、どこでも、誰でも、自分が

田中 申介

所属ゴルフ倶楽部の月例競技の際に、同伴競技者から「田中さん、お仕事は何をされていますか?」と尋ねられたので「医者です」と答えた。すると「何科のお医者さんですか?」と更に尋ねられた。そう、「医者です」と答えると必ず「何科ですか?」と尋ねられるのだ。開業後間もなくはこういった場合「外科です」と何の迷いも無く答えていたのだが、最近では何と答えていいものか心の中に?が浮かんでいる。

学生時代の外科の教科書『標準外科学』(医学書院)の最初の総論において、我が師である武藤輝一先生が、外科医の立場として以下の記述(一部抜粋)をされている。「外科医の本領である手術はわが子にも躊躇なく自らメスをとれる安全かつ自信のもてるものでなければならない。(中略)華岡青州の句“内外合一、活物窮理”にあるごとく外科医は内科的にも十分な知識を備えていなければならない。(中略)自らの野心や功名心を捨てて、病人を救おうとする誠実さこそ外科医の本当の在り方といえよう。」

やはり「外科です」と答えることには相当な無理がある。「先生は何科のお医者さんですか?」「自分でもよくわかりません。ただの町医者でしょうか?」これが正解だろうか?

2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大でコロナ疑い患者を診療できない医療機関が増えて、過疎地でもない都会が医療過疎地となってしまったため、プライマリーケアレベルでの対応強化の必要性が問われるようになり、厚生労働省が「かかりつけ医」の機能強化の検討を開始した。また、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会(2022年5月25日)は財政運営の観点から「かかりつけ医機能の要件を法制上明確化する」ことを提言し、かかりつけ医を登録制にし、医療費を定額負担とし医療費の抑制を計る案を打ち出してきた。

こうした状況を踏まえ、新潟市医師会から会員に対し「かかりつけ医」に関する現状調査アンケートが行われ、更に2022年11月26日開催の新潟市医師会総会におけるシンポジウムにおいて、新潟県医師会理事であり日本医師会医療政策会議かかりつけ医WG委員でもある小柳 亮先生が、地域において面として患者を支えるかかりつけ医機能の充実を訴えたのである。

その後、2022年11月28日の社会保障審議会において、財務省や健康保険組合連合会が要望していた認定制や登録制については見送られたが、かかりつけ医の定義を明確化し情報提供も拡充し適切な医療につなげるべく、かかりつけ医が果たすべき役割について、法律に明記する方針が打ち出された。

要は、医師は地域医療に責任を持ちなさいということ。責任とは診療を依頼されたらいつでも、どこでも、どんな疾患でも診る、医師しか出来ない業務は断らないということか。いずれにせよ「かかりつけ医」の任を担うのは主に地域における最前線の診療所、いわゆる「町医者」ということになる。これからの「町医者」には総合診療医的な技量が要求されることになろう。

ここで新聞記事をひとつ紹介する。2022年8月31日の『日本経済新聞』の大学面に

新潟大学 医学部医学科

VR活用、「総合医」育てる

という記事が載っていた。それによれば新潟大学医学部医学科は2020年12月に総合診療学講座を開設した。学部教育の段階から総合診療に関わる医師を増やすべく、新型コロナウイルス禍でもオンラインやバーチャルリアリティ(VR)技術を駆使し、患者の話を聴く力やコーチング力を含む技と専門知識を備えた医療人材を育てるという。講座を受け持つ上村顕也特任教授は「『頭も痛いし、おなかも痛い』という患者さんに『おなかは診られないから内科に行ってほしい』とは言えない。危ない疾患だけでも、その場で見分けようとする意志と能力を持ってほしい」と話している。また同講座の馬場晃弘特任助教は「看護師、薬剤師、リハビリスタッフだけでなく、介護士や患者さんの家族との連携が求められる」とチーム医療の重要性を説いている。そして最後に講座で学ぶ6年生を紹介しているが、彼女は「疾患を診るだけでなく、患者さんが大切にしていることや家族、生活などの社会的背景を尊重できる医療を提供できれば」と総合診療と救急分野の勉強に力を入れているとのこと。なるほど、総合診療学講座=Dr.コトー養成講座か。

コロナ禍の中、医療DX(電子カルテ、電子処方箋、マイナンバー保険証、オンライン診療、ヘルスケアSNS etc.)の促進が叫ばれ、地域の診療所の役割が見直されようとしている。病院再編、医師の働き方改革も含め、今、医療界は大きな変革の時を迎えている。筆者が開業した20数年以上前には考えられなかった状況である。元外科医者が「町医者」になるために(そういえばDr.コトーも元は外科医者)、外科医時代の“内外合一、活物窮理”の教えを肝に銘じ、時代の流れについて行かなければならないが、前期高齢者のアナログ脳の筆者にとっては誠に生きづらい時代である。

(令和5年2月号)

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