阿部 行宏
新潟県全体で医師不足が懸念されていますが、新潟市は比較的医師の充足度が高いものの、全国水準と比較すると依然として不足しています。加えて、開業医の高齢化や医師の働き方改革が進行する中、訪問診療を支える医療提供体制が悪化する懸念があります。また、高齢化と人口減少に伴い医療介護人材も不足しています。
このような状況の中、国は訪問診療の推進を方針として示しています。訪問診療件数は増加の方向に向かうと考えられます。今後、訪問診療は地域医療の中でも重要な役割を果たします。そのため、以下の点に注力することが必要と思われます。
まず、若手医師の育成と確保が不可欠です。地域医療に興味を持たせる環境整備や充実した研修プログラムの提供が必要です。新潟大学医学部1年生の研修が診療所でも行われるようになっていますが、まだご参加いただいていない先生におかれましては今後の新潟の医療を担う人材育成の面からもご協力をお願いしたいと思います。
次に、連携強化も欠かせません。訪問看護や介護施設、地域包括支援センターなどとの連携を強化することで、訪問診療の質と効率を向上させることができます。新潟市ではSWANネットの普及に力を入れています。このシステムの利用により格段に連携する能力が変わります。電話やfaxでの連携もありますが、それでは1対1の連絡でしかなく、1対多数の連携を考える必要がありますし、その際にはセキュリティーにも配慮が必要です。情報漏洩はあり得ますがなるべく起こさない手だてを取っておくことが必要かと思います。さらに、その情報の共有においては相手の顔が見えていることも欠かせません。ぜひ各地域にある顔の見える関係性を築いていくための医療介護連携の会(東区においては山の下ねっと、ぽーちゅらかネット、新潟エッセン)にご参加いただくことで信頼関係もより強くなり、お互いがお互いに信頼しながら任せられることは任せておき、困ったときにはお互い様の考えで、より円滑に地域医療が推進できればと思います。
また、オンライン診療の活用により、訪問診療の効率化やリモート診療の実施が可能です。現在当院でも行っておりますが、安定している訪問患者さんに対し訪問看護が入る時間に合わせて時間設定し、看護師のサポートを受けながらバイタルなどの確認を行いつつオンライン診療の問題をカバーしながら行っています。外来時間の途中に組み込むことでより多くの訪問患者をサポートできると考えています。
さらに、外来診療も忙しいためなかなか訪問診療までいけない先生もいらっしゃると思います。外来診療の時間をより効率化していくためには様々な医療DXの推進も求められます。自動化できるところは自動化し、AIの導入により効率的な診断の補助を得ることも今後必要となってくると思われます。(ちなみにこの文章の大まかなところはchatGPTに手伝ってもらいました)
様々な課題があり何から手を付けていけばわからなくなりそうですが、まずは私たち医師が地域医療の中心であることは間違いなく、中心にあるものが率先して地域を見て課題と向き合い、周囲の方々と共に解決策を見出すべく、上記に述べた連携する会へ参加してみてはいかがでしょうか?
また、困ったことわからないことなどの解決のため医師会では在宅医療推進センター、在宅医療・介護連携センターを設置しておりますのでお問い合わせいただければと思います。さらに医師会では在宅医療・在宅ネット推進協議会も設置しています。訪問診療における課題の解決のため会議を重ねています。在宅ネットのメーリングリストも作成しておりますのでご参加いただければ、疑問点などを挙げていただけるとほかの先生方から何かしらアドバイスがいただけるようになっております。ぜひご参加ください。
(令和6年3月号)