藤澤 正宏
新任の新潟市医師会理事として大変有意義な日々を過ごさせていただいています。
これまでお世話になっていた医師会ですが、今回理事となり、理事の皆様はこんなに忙しく活動されていたのかという驚きと共に、これまで支えていただいていた理事及び医師会員の皆様に改めて感謝申し上げます。
私が新潟市に来たのは約15年前になります。
それまで消化器外科を専門として医療を行っていましたが、こちらへ来てからは、内科全般を勉強しながら、地域に貢献したい一心で地域医療に取り組んでまいりました。
一般の内科外来診療は、外科診療とは違い、慢性期に対する予防医療が多くを占めており、直接患者様の状態変化に関わることが少ないと感じました。そんな最中に、訪問診療を経験することができ、新しい医療のあり方に気づかされました。
訪問診療は、実際の家庭内の状況をみることで、患者様の病状だけでなく、生活環境やご家族との関係性、ご本人の価値観や死生観など、外来では得られないような様々な情報を得ることができると分かりました。
癌の末期で根治しうる治療が無い場合、緩和ケアが医療の中心となります。そのような患者様を診ている中で、多くの方が住み慣れた自宅に帰りたいと思う一方で、受け入れる医療機関が果たしてどのくらいあるのだろうか?と考えるようになり、患者様に寄り添う医療を行いたいという思いに至りました。
平成29年当時は、在宅医療を手掛けるクリニックはまだまだ少なく、末期癌の患者様は入院で最期を迎えることも多くみられる状況でありました。
在宅で最期まで自分らしい生活を送りたいという患者様の想いに応えるために、平成29年5月に訪問診療を専門とする医療機関として『こうなんfamilyクリニック』を開設いたしました。同年に訪問看護も併設し、5年が経過した令和4年12月に新築移転を行い、外来診療も新たに開始いたしました。
現在は訪問看護に加え、訪問リハビリテーション、訪問歯科も行えるように分野を拡大し、地域の医療に貢献すべく活動を続けております。
また、患者様のお気持ちに、誠心誠意寄り添えるように、スタッフ一同、日々研鑽を積んでおります。
当院のスタッフも、非常勤を加えると総勢30名を超え、それぞれ個性にあふれた人材が揃っております。趣味も様々で、コーヒーを心から愛する者、筋トレに励むスタッフ、キャンプやサウナや温泉、音楽やゲームに癒されたり、サッカーに情熱を注ぐスタッフなど様々…、皆さん仕事以外でも精力的に活動しているようです。
しかしながら、人が増えれば、もちろんぶつかり合う事も多々あります。その都度、みんなで話し合いを行いより良い方向に解決できるように努力しております。
それぞれの状況を認め合いながら、クリニックの名前にあるfamilyに近づけるように、スタッフ一同助け合いながら、個性は活かしつつ、日々進化していく所存です。
医療業界にもAIの波は押し寄せ、様々な分野で便利になってきておりますが、人口減少の昨今、医療現場においての人材確保と医療の質の確保は大きな課題かと思っております。
今いるスタッフとの出会いに感謝しつつ、さらなるより良い医療を目指して、微力ながらも地域に貢献できる医療機関になれるよう、スタッフ一同尽力させていただきたいと思っております。
(令和6年12月号)