竹之内 辰也
3年前に、医療クオリティマネジャー(医療QM)の養成セミナーを受講しました。これは、日本医療機能評価機構が設けている認定制度で、病院内での質評価・質改善活動の推進役を担う人材を育成することを目的としています。私自身、5年ごとに行われる病院機能評価の更新受審を毎回担当していることもあり、「この資格を取っておけば、サーベイヤーの印象が良くなるのでは…?」という、少々よこしまな動機もありました。もちろん、本気で質改善に取り組む意志も持ち合わせております。この医療QMセミナーは2012年に始まり、2022年時点での修了者は全国で1,435名とのことです。内訳を見ると、医師が17%、看護職が37%、事務職が27%、その他の医療技術職が19%とされており、職種の枠を超えて「医療の質」に取り組む人材が着実に増えてきていることが分かります。
研修は前期・後期に分かれており、前期はオンデマンド配信とライブセミナーで構成された、合計10数時間に及ぶプログラムをすべて視聴しなければなりません。内容は、医療の質指標や業務プロセスの改善、患者・職員の満足度評価、データ収集・解析の手法、さらには組織マネジメントにまで及び、まさに多岐にわたります。
後期は、3日間にわたる参加型のWebセミナーで、グループワーク形式で進行します。全体で70名以上が参加しており、6人ずつ13グループに分かれて、それぞれ与えられたテーマに基づいた質改善計画を立て、ディスカッションとプレゼンテーションを行いました。私のグループには医師、看護師、理学療法士、そして医事職員がいました。中でも、入職2年目で100床未満の病院から参加していた医事職員の方は、慣れない実習に大変苦労していました。ですが、最終的には全員が自施設を対象とした質改善計画をパワーポイントにまとめ、それが参加者全員に課題集として配布されました。私にとっては、どの講義資料よりもこれが宝物となりました。それぞれの病院が抱える課題は異なるとはいえ、「職員がより良い医療を目指して模索している」という点は共通しており、その内容は持ち帰って院内の業務改善委員会でも共有しました。
さて、今年の県立がんセンターは再び5年に1度の病院機能評価を控えています。県立病院の財政問題や病棟の削減など、当院を取り巻く状況は一層厳しさを増しています。こうした時期だからこそ、職員の組織への帰属意識や一体感の醸成が、より強く求められていると感じます。そして個人的には、次回のサーベイヤーとの対峙(?)を密かに楽しみにしているところです。