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新潟市医師会報より

新潟市医師会

がんと脳の合併症

監事
高橋 英明

2006年からがんセンターに赴任して20年近くになる。当初は脳転移の摘出術や放射線治療の選択が主な仕事であった。大学では悪性神経膠腫の治療が自身の専門的テーマであったが、その時から対象が脳転移になった。脳転移の治療を行なっているとその中に硬膜転移や髄膜癌腫症といった転移巣が脳実質から髄膜や脳脊髄液腔内に広がった病態も混ざってきて、手術や放射線治療といった局所治療ではどうにもならない病態にも多く関わるようになっていった。当時は進行乳癌の髄膜癌腫症を造影頭部CTで診断すると治療介入しなければ3週間ほどで病状が悪化していく患者も多く見られた。全脳照射や髄注化学療法で少しでも病状の進行を食い止めたかった。10年ほど前から、分子標的薬が登場し、髄膜癌腫症診断の肺癌患者でもチロシンキナーゼインヒビターの内服薬で回復し、その後3、4年普通に日常生活を続けられる人を見るようになった。

がん患者は血栓を生じやすく、トルーソー症候群と呼ばれるがん由来の脳梗塞患者を当時呼吸器内科の先生から紹介され、消費性血小板減少からたちまちDICへ移行する病態を経験した。また同じ病態が婦人科癌や膵臓癌患者に多く合併することもわかってきた。今では、脳卒中学会でも腫瘍脳卒中学として癌関連脳梗塞の診断や治療に関心を向けている。

免疫チェックポイント阻害薬はたちまち種々のがん治療現場に登場し、脳転移のある場合にはステロイド剤を減量しなくてはならなくなり、脳浮腫の管理が難しくなってきている。定位放射線治療などを行なっている際には2ヶ月ほどして遅発性放射線壊死といった病態から脳浮腫をきたす場合もあるため、ステロイドによる神経症状緩和にも影響が出てきている。

がんセンターでは固形がんの他に、血液がんも多く扱われており、その治療は非専門医の私には到底理解も及ばぬものではあるが、抗体薬や免疫療法の適応も多い。脳神経外科では髄膜癌腫症の診断で腰椎穿刺による髄液検査も各科から依頼されることも少なくなく、血液内科からはしばしば髄注化学療法のお手伝いをさせてもらっている。そうした関係で、血液幹細胞移植後の感染から辺縁系脳炎、免疫療法後の自己免疫性脳症の発症なども経験することとなり、初めて出会う病態に驚きつつもてんかんの管理や脳浮腫の対応などもさせていただけている。

つい最近、リンパ腫の患者が失見当識障害を繰り返しているという血液内科の先生からの連絡があり、ICANS(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群)という副作用を経験した。ICANSはCAR-T細胞療法や二重特異抗体薬に伴う神経系の症状である。振戦、書字障害、認知機能低下、痙攣、せん妄などをきたすことが知られている。発作的に繰り返していることからてんかん発作を疑い脳波をオーダーしたところ、ICANSのてんかん発作時脳波を初めてこの目で確認した。

70歳を過ぎた勤務医には少し刺激の強い新しい事象の連続である。がんの中枢神経合併症は、がんの治療の進歩とともにさらに複雑化しているのを実感する日々である。

(令和7年9月号)

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