八木澤 久美子
今年発刊された当会医師会報を読み返していました。現在の医療の行く末を危惧する記事がいつもより多い印象を受けました。
全国の病院の約7割が赤字という衝撃的事実、新潟市内の病院も例外ではありませんでした。先生方は一生懸命働いていらっしゃるのになぜ?という疑問と新潟市の地域医療はこの先どうなってしまうのだろうという不安を感じざるを得ません。かかりつけ医機能報告制度の行く末もしかり。医師の働き方改革、医師の偏在の問題、新潟市の救急医療のひっ迫をどうするのか、医師の高齢化、担い手不足の学校医、警察医の問題、新潟市急患診療センターの電子カルテ導入と運営など課題は枚挙にいとまがありません。
さて私的にも昨年当診療所も赤字決算でした。診療報酬に対して材料費、人件費高騰が主な理由です。追い打ちをかけるように訪問診療中右膝をひねってしまい半月板損傷、松葉杖生活となりました。踏んだり蹴ったりです。気付けば眉間に皺、口角は下がり、鬼婆のような顔になっているではありませんか。これではこわがって誰も近づいてくれません。そこで思いたったのがこんな時こそ嘘でも笑顔でいよう、困難を笑い飛ばしてしまおう、ということでした。笑顔といえば尊敬する大先輩H川先生の国宝級笑顔、T井先生の温かい笑顔、N田先生の素敵な笑顔、優れた先生は素晴らしい笑顔をお持ちです。私なんぞは足元にも及びませんが笑顔は真似してみよう。
さて私は「脳はだますことができる」と思っています。つまり楽しいから笑うのではなく、口角を上げて笑った顔にしていると、脳が楽しいことが起こったと錯覚し、楽しい気持ちになってくる、というようなことです。とくに私の脳はおばかさんなので簡単にだますことができます。寝るときにニカーっと口角上げると良眠できるのです。せっかくですので素敵な笑顔の作り方をお教えいたします。だまされたと思ってやってみてください。きっと楽しくなってきます。保証はしませんが。
1、初めに姿勢を整えます。
2、肩を回して肩甲骨周りをゆるめます。
3、耳たぶを持って回します。
4、後頭筋、側頭筋をほぐします。
5、頭皮全体をほぐします。
6、手で顎を持ち、反対側の手で鎖骨を持ち首をのばします。
7、口を大きくして「あ・い・う」と言います。
8、だいぶほぐれてきましたね、それでは心の中で掛け声かけてウィスキーと言ってみましょう。ウィスキー!
(令和7年11月号)