廣川 徹
春になり入学式を終え、新学期がスタートしました。学校医、園医の先生は4月から定期健康診断が始まり、大規模校や複数担当している先生は昼休みも満足にとれない多忙な日々が6月末まで続きます。
令和6年1月に新潟市医師会が学校医について各班(全19班)の班長に行ったアンケート結果(回答18人)では2校(園)以上学校医(園医)を担当している先生は89%でした。また、学校医(園医)を担当可能な医師でありながら担当していない医師がいると答えた班は72%でした。現時点で班内の学校医(園医)を担当する医師数が足りていると答えた班長は11人(61%)でしたが、今後10年以内に学校医(園医)が足りなくなる可能性があると12人の班長(67%)が回答しています。
学校には学校医を置くことが法律(学校保健安全法第23条)で定められています。しかし、近年新潟市では開業医の高齢化、小児科医の減少、若手医師の地域医療に対する意識変化などにより学校医(園医)の選出が困難になってきています。小児科開業医は1人で中学校、小学校、幼稚園、保育園、こども園など複数兼任しているため、小児科の閉院があると受け持っていた学校医(園医)の後任選びの対応は困難になります。
後任の選出については
① 前任者が後任を選び依頼する。
② それでも後任が決まらない場合は班会議で協議の上で決定する。
③ 班で決定できない場合は医師会がサポートする。
が原則となっています。ただしこれは市立の学校・園に対するもので国立・私立の学校医(園医)については各施設が個別に医師に依頼することになっています。
現状では、リタイアされた先生にもお願いし、協力していただける先生には引き続き学校医を担当していただいていますが将来的には学校医(園医)の不足が予想されます。
新潟市医師会は学校医(園医)に少しでもモチベーションを上げてもらうため、政令指定都市20自治体のなかで最低レベルである新潟市の学校医基本報酬の増額を要望してきました。今年度、わずかな増額がありましたが未だ最低レベルの報酬額のため、引き続き要望していきます。また、新規開業ガイダンスでは開業する先生に学校医(園医)などの地域医療活動への貢献、協力をお願いしています。
新潟市保健給食課もこの学校医(園医)不足に危惧し、開業医の先生のみならず、勤務医の先生にも学校医(園医)の依頼を始めました。新潟市も少子化になっていますが、市内の小中学校の統廃合は進んでいない状態です。全国的にも学校医(園医)不足が問題になっていますがこれといった解決策がありません。日本医師会では20年ぶりに学校医の手引きに相当する「学校医のすすめ そうだったのか学校医」を作成し医師に対して学校医の魅力や意義を広める活動を始めています。
学校医制度は明治31年から始まり、昭和33年に学校保健法が制定され、その後平成21年に学校保健安全法が施行されました。学校医はその時世によって健診内容や職務が変化しています。学校医制度が始まったころの身体検査、栄養失調や伝染病予防から、学校保健法の制定後は心臓病、腎臓病、気管支喘息、糖尿病、脊柱側弯症の検診が加わりました。学校保健安全法に改名されてからは社会構造、疾病構造が大きく変化、複雑化しています。学校医は日常診療の間に学校医の業務をしているため、時間的にも労力的にも負担が大きくなっています。
これからは学校医の制度に対しても見直しが必要だと思います。
忙しい中、時間を割いて学校医(園医)をされている先生方には大変感謝申し上げます。また学校医をされていない先生には学校医不足の現状についてご理解、ご協力のほどお願い申し上げます。
未来を担う子どもたちが学校や園で安心、安全、健康に過ごせるようにどうかお力添えください。
(令和8年5月号)