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新潟市医師会報より

新潟市医師会

年をとること

白根緑ヶ丘病院 古谷野 好

ふるさとは人なり握る手のおぼろ 静

平成25年3月に83歳の母を連れ咲花温泉に泊まり、新潟に帰る途中、ふと思いついて寺社(阿賀野市)に寄った。寺社のF寺は母のふるさとである。母にとっては50年振りである。ナビで観音堂を見つけ、それをたよりに車を走らせ、近くの屋敷に「F寺はどこか」と尋ねると「ここだ」という。かつての鬱蒼とした杉林、竹林に囲まれていたF寺の面影はなかった。突然の訪問を詫び、母を連れてきたことを告げると「今日はデイサービスがないので、ヒサがいる」と住職が言う。ヒサとは母の従姉妹である。90を超えている筈である。母に「ここだったよ、ヒサさんがいるよ」と言うと、「えー、ここが寺社? 変わったねー」と車から這いでてきた。やがて玄関に腰の曲がったヒサさんが手を引かれて現れた。優しい表情は昔と変わらない。「ヒサねーちゃん、シズです」と母、ヒサさんはにっこりして、母の手を取った。しばらく二人は無言であった。帰りの車中「生きているヒサちゃんに会えるとは思わねかった」と母はつぶやいた。私は60近くになって初めて親孝行ができたと感じた。句は、母がこの時のことを詠んだものであり、『天為』同年7月号の主宰推薦句に選ばれた。

老いを生きることの苦しさ、寂しさを義父(昨年95歳で逝去)は、好きなゴルフができなくなる、碁に負ける、それに妻、兄弟、先輩、友人に先立たれる、後輩にまで逝かれることと表現した。「俺だけ百まで生きてもしょうがないから、みんな健康で百まで生きればいい」とは、おめでたくも義父らしい言葉である。ヒサさんは上手に老い、母にすばらしい俳句を作らせてくれた。ただ生きているだけでは価値がないとするのは実存の滋味を知らぬ者のいうこと。本人が、今ここに生きて在ることが、家族、親戚や友人、知人、後輩に力を与えてくれる。勿論BPSDは厄介ではある。

勤務する白根緑ヶ丘病院は市指定の認知症疾患医療センターである。平成25年4月以来、多くの認知症の患者さん達を診させて頂いている。ヒサさんの様にどう上手く老い、生きてゆけるのかを御家族と共に考えたいと思っている。それはまた自分自身の問題でもある。

(平成28年5月号)

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