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新潟市医師会報より

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新潟県厚生連豊栄病院 菊地 博

人の感覚は全くもって侮れない。熊本地震の後、改めてそう感じた。

「だんだん揺れが大きくなっている。どんどん頻繁になっている」大きな揺れの翌日、避難所でのテレビインタビューで60代の男性は語った。「もっと酷いことになりそうだ」パニック気味に発せられたこの言葉は、遠く離れたスタジオの専門家達に、被災者心理として捉えられた。「余震は本震より大きいことはなく、一時的な頻発はあってもやがて収束する」と。私を含め、多くの人々もそう思ったであろう。しかし、男性の感覚が正しかったことが、未明の「本震」で証明された。

ふと、一人の患者を思い出した。十年位前になる。高血圧を患った、いつも笑顔で来院するお婆ちゃんである。ある眠剤を1錠処方されていたが、朝方ふらつくことがあり、半分に割って内服していた。それでも十分眠れていた。ある受診日、半量の錠剤に変更した。1か月後、暗い顔で現れた彼女は「薬が変わってから眠れなくなった。前に戻してほしい」と訴えた。私は「慣れた色や形でないと効かないのかな?」と、笑って前の処方に戻した。「気のせい」と考えたのだ。次の外来からは、再び彼女に笑顔が戻った。半年後、半量の錠剤は自主回収された。溶出率が低かったのだという。この時、彼女の言葉を簡単に「気のせい」としたことを恥ずかしく思った。

過去の例や観測データなど、机上で捻出された予測は、確率論に基づいた占いにすぎない。各種占いも統計に基づいているらしい。EBMも、所詮統計的な確率論である。治療方針を立てる際には大いに役立つが、全てうまくいくわけではなく、稀な事象も起こる。人の感覚の鋭敏さは、想像を遥かに超える。万に一つの事、今まで起きたことのない事さえ感じることができる人もいる。「気のせい」では済まされない。

人の言葉を素直に受け止められていない。頭が固すぎるのだ。何年経っても成長していないな。また恥ずかしく感じた。

(平成28年8月号)

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