医療法人健周会東新潟病院
齋藤 紘丈
私はClaude Lelouchの”Les uns et les autres”(邦題『愛と哀しみのボレロ』)という映画を見て育ち、第二外国語はフランス語を選択し、英語に似ているようで全く異なるフランス語の世界に魅了されていきました。大学4年生、2008年の初めての渡仏後に「もっと現地の方とコミュニケーションを取りたい」と思い、2011年冬に実用フランス語技能検定試験(以下、仏検)準2級に、2024年夏に2級に合格しました。
仏検2級合格の際、文部科学大臣賞を頂きました。これは成績上位者に授与されるものとのことで嬉しい限りです。「仏検 合格者の声」で検索していただくと私を含めた合格者のメッセージが掲載されていますので、お時間のある時にご一読ください。他の上位級合格者の寄稿を見ると、フランス語圏在住者や外交関係のお仕事をされている方が多い印象を受けます。
フランス語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、ルーマニア語は俗ラテン語から派生したロマンス諸語の代表選手です。私はスペイン語がどんな言葉なのか仏検対策中から気になっており、スペインにはサグラダファミリアやアルハンブラ宮殿などの世界遺産がたくさんあるということで、今年4月よりスペイン語を勉強することにしました。
フランス語の知識がスペイン語学習に役立つかと問われれば、「ある程度は」だと思います。フランス語とスペイン語で形が似ており同じ語源を持つ単語は多いです。例えば形容詞「外国の」はétranger(フランス語)、extranjero(スペイン語)で、ラテン語のextraneus(部外者、よそ者)に由来します。「パン」はフランス語(pain)もスペイン語(pan)も同じような綴りでラテン語のpanisに由来します。
ただし、似ている形でも意味が異なる単語(フランス語で「偽りの友」faux amis)には注意が必要です。例えばnombreはフランス語では「数」、スペイン語では「名前」です。知っているフランス語と同じような単語が出てきたときでも必ず辞書を引いて確認する必要があります。スペイン語ではしばしば主語代名詞が省略されるのもフランス語との大きな違いの一つです。
フランス語の学習経験を振り返ると、簡単な旅行会話ができるようになった(仏検準2級合格)のは学び始めて5年後でした。スペイン語を現地で使えるようになるのもそのくらいの年月がかかるでしょうから、時間をかけて基礎を学習し、まずはスペイン語検定5級(下から2番目)の合格を目指したいと思います。
(令和7年7月号)