豊栄病院 外科
竹石 利之
5月GW過ぎの最初の週末に岩手県盛岡市を旅してきました。
盛岡は2023年NYタイムズで紹介されたことで有名ですが、私にとっても結婚後最初に出張した思い出の地です。1998年4月~6月、医師になって5年目に、医療法人 遠山病院 外科にお世話になりました。
当時の遠山病院は、新潟大学第一外科の名医局長として誉れ高かった関根幸哉先生が副院長をなさっていて、地域の中核病院として、地元の方々からの信頼も厚く、毎日多くの患者さんが来院していました。外科は関根先生と山形大学ご出身の由岐先生、出張医の3人体制で、病棟管理・手術のほか胃・大腸内視鏡、放射線読影など手取り足取り指導していただきました。また職員同士の仲が良く、勤務が終わると技師さんも加わって将棋を指したり、TVで相撲観戦、週末には花見や飲み会があり、3ヵ月はあっという間でした。
現在の遠山病院は新しい病院を建設中でしたが、古い病院はまだそのままでした。建物の前に立った時、様々な思い出が鮮やかに湧き上がってきて、過去に戻った気持ちになりました。当時住んでいたマンション、近くのパチンコ店、よく行った定食屋も建て替えがされずに残っていて、歩道や川岸なども整備されすぎていなく、その風景がまた、人々の心を静かに落ち着かせる感じでした。
そして、その風情に加えて素晴らしいのは、食べ物の美味しさです。それは新潟も全く劣りませんが、ひとつ違いを挙げるなら“ウニ”ではないでしょうか?海鮮居酒屋で赤酢米、マグロ、獲れたてのウニを上質な海苔でふんわり巻いて、“ハイよ!”と大将が手渡してくれました。それを両手で持って端から“がぶりっ”・・・。ふと横を見ると、妻があまりの美味さに涙をこぼしていました。
盛岡を旅し、街並みや美味いものに心を奪われる一方で、まだ知識も経験も技術もなかった頃の自分を鮮明に思い出し、改めてこれまでご指導いただいた諸先輩方への感謝の念を強く抱きました。時が経ち、今は後進を育てる立場になりましたが、この思いを胸に職務に精励したいと思います。

写真1 中津川の川辺

写真2 宮沢賢治 いーはとーぶアベニューにて
(令和8年7月号)