木村 洋
一歩ここの浴室内に入ると、途端に大量の汗が流れ出てきます。温泉とも、サウナとも、岩盤浴とも違う感覚です。
温泉大好きで各地の温泉を巡るのを楽しみにしていますし、秘湯といわれる所もいくつか行ったことはありますが、今までに体験したことのない異次元空間に夫婦ではまっています。
基は奇蹟を起こす温泉岩盤浴として広く全国から難病の方々が多く集まることで有名な秋田の玉川温泉と薬石鉱石ミネラル温泉の山形東根温泉「たびやかた嵐湯」とのコラボレーションで誕生し、多くの効能があるとして人気を得て全国展開している温泉です。その一つがここに紹介するホテル大橋館の湯にある鉱石ミネラル風呂「嵐の湯」です。
15種類の薬効鉱石に熱を加え、温泉水をしみ込ませ、それを蒸発させるという方法で温泉の粒子を細かくさせ、人体に吸収されやすくすることにより、効能効果を高めることを可能にしたと謳っています。私は耳鼻科医ですが、花粉症、アレルギー性鼻炎、ぜんそくにも効果があるといい、確かに鼻がスーと通ります(温度と湿度に秘密があると思います)。その他、効能としては、神経痛、偏頭痛、血行障害、肩こり、便秘、痔疾、アトピー、皮膚炎、みずむし等々、多岐にわたります。
室温45度、湿度80%以上、鉱石ミネラルと温泉ミネラルのマイナスイオン・シャワーを全身に浴び、かつ体内に吸収し、リフレッシュします。
入浴には作法があります。(1)入浴前に前室のミネラル温泉風呂でさっと汗と汚れを落とした後、作務衣に着替えて、実際に入浴します(男女一緒です)。(2)1回の入浴は10分以内(とても10分以上は入っていられませんが、高齢者は7-8分)、5-10分休んでまた入るを3回繰り返します。(3)室内では無駄な会話をしない。α波の出る音楽に耳を傾け、鼻から大きく息を吸い、口から吐き出し、静かに呼吸を整える。そして、(4)ミネラル水を補給する。大量の汗がでますので、水分補給が肝腎です。案内放送では汗で失う水分を単に補給するのではなく、また、単に喉の渇きを癒す為でなく、血液中の水分・体中の水分を入れ替えるのが目的だそうです(まるで血漿交換ではないですか)。たしかにサウナでは入浴後体重が減りますが、ここでは±0かむしろ若干増えます。そして、サウナのように体への負担も少なく感じます。(5)シャンプー、石鹸等はなるべく使用しない。汗腺からだけでなく皮脂腺からも有毒物質が洗い流される(デトックス作用)効果もあり、上がると肌もスベスベです。風呂上がりのぽかぽか感は1時間以上も持続します。
1回2,000円と他の日帰り温泉施設と比較すると高めですが、満足感はそれ以上で、医者ともあろうものが病みつきになっています。某大学教授の免疫力向上説云々は少し興ざめですが、いい汗を一杯かいて、おいしいビールを飲めば、言われなくとも、極楽極楽……。昔の人は命の洗濯とよく言ったものです。新潟からドライブがてら、化学・医学を超越した大自然のパワーを体験しに行ってみたらいかがでしょうか!?
鉱石ミネラル風呂「嵐の湯」
(岩室温泉、ホテル大橋館の湯)