熊谷 敬一
飲酒しない方には申し訳ないがバーの紹介をさせていただく。わたしがこの店を好きになったきっかけは、ある1本の酒との鮮烈な出会いであった。ポートエレン29年シングルカスクである。既に1983年に閉鎖された蒸留所の製品であるという希少価値のみならずその内容がすばらしかった。色は明るいシャンパンゴールドで香りはバニラ、レモンピール、木香、わずかなピート臭。カスクストレングスで58.5%である割には強いアルコール度数を感じさせない。味はビターチョコ、ドライオレンジ、黒糖、アーモンド、バター、オーク味、綿飴で長期熟成品独特の強い甘みがある。後味はイチジク、熟したメロン、グレープジュース。
店自体は1991年にオープンし、2009年に現在のオーナーバーテンダー、近藤康夫氏が引き継いだ。いいバーの条件はバーテンダーさんの味覚が鋭敏であることと研究熱心であることだと思う。近藤氏は全国で20名のみであり東北・北信越地区で唯一の竹鶴ウイスキーアンバサダーの資格を取得しているなど、まさしくそのようなバーテンダーさんである。多彩な各種カクテルとウイスキーが楽しめる店であり、400本ほどあるボトルのうち半分の約200本がウイスキーであり、スコッチでは特にアイラモルトが多くジャパニーズウイスキーも充実している。カクテルの中でお勧めは、ブラッディ・メアリーである。貝のエキスなどで味付けされたクラマトトマトジュースとペッパーウオッカを合わせたもので、味がよくその日の最後に飲む1杯に適している。
残念ながら、冒頭のポートエレンはもうなくなっているが、新たなポートエレンの1本が今も楽しめる。1983年春、蒸留所が閉鎖される直前の蒸留で、2007年にボトリングされた23年ものである。2つの樽をバッティングしてあり、ピーティーな香りで段々と甘くなる味わいである。ご興味のある方は是非お試しを。
ヨークシャテリア
住所 | 新潟市中央区古町通8番町1501国際ビル4F | |
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電話番号 | 025-229-6336 | |
営業時間 | 20:00~5:00 (日曜、祝日は0:00まで) |
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定休日 | 大晦日、元日 |