桑原 克弘
新潟市から磐越道に乗り、会津坂下インターからさらに20分の距離に旧山都町地区がある。飯豊山で新潟県と接する山間の町で、現在は喜多方市と合併している。喜多方市といえばラーメンだが、山ひとつ隔てた山都はそばで有名だ。南端の盆地に山都駅を含む街区が拡がり、駅周辺にも数件のおいしいそば屋がある。時間に余裕があるときは宮古地区を目指してみる。宮古地区は国道459号線を新潟方面に遡って20分ほどにある集落だ。この国道は崖沿いの狭隘な道が残るいわゆる「酷道」だが阿賀町から喜多方市に抜ける区間の整備が進み、かつてほどは運転に不安は感じない。山道をひたすら登ると、そば街道ののぼりが立つ最奥の宮古集落に到着する。この地域は高地で米作りに適さないが、寒暖の差と飯豊山の伏流水によりおいしいそばが育つとのこと。注目すべきはこの地域の30軒ほどの民家のうち10軒以上がそば屋を営んでいたという珍しいそば集落であることだ。
以前は予約のみの店が多かったらしいが、現在は土日であれば予約なしで入れる店が多い。店といってもまさに古民家であり客間や仏間に通され、仏壇の前で食べることもある。メニューはそば会席が中心で、そばに加え山菜、てんぷらなどがでてくるためよほど空腹でなければ安いコースで満足できる。「十割そば」らしいが色白でボソボソせずコシがある。
多くの店は女将さんが案内してくれる。「この地域では昔からそば打ちは女の仕事だからどの店もおばあちゃんがやっているのよ」と笑っておられた。女将さん達も高齢化しているようだが、まだ8店ほどは営業されている。
次こそは当地の湧き水に浮かべてそのまま食べる「水そば」を試してみたいと思うのだが、濃いつけ汁につけたそばのうまさを思うとまだ思案中だ。この記事が出る頃のウイルス禍の状況は見通せないが、人里離れたこの地域がいつも通りであるような気がしてならない。
喜多方市山都町 宮古そばの里
宮古そばの里組合
URL | https://miyakosoba.jimdofree.com/ |
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住所 | 〒969−4104 福島県喜多方市山都町蓬莱 |
電話 | 0241−23−5720 |
定休日 | 店によって営業日は異なる |