黒田 兼
本誌2015年3月号で紹介された、一度食べると他のピザが食べられなくなるピザ屋さん、西堀のピッツェリア ダ ヴィットーリアの姉妹店が昨年10月開店しました。店主自らが釣ってきたお魚を食材にしているお惣菜のお店です。これは是非とも食べてみたいと足を運びました。「釣ってきたお魚は美味しい!」の感動を届けたくて…とお店のチラシに書かれています。釣ってきた魚ですから、当然旬で鮮度の良いもの、ただしその日の状況によって種類や量が変わってしまいます。買いに行ける時間には、お目当てのものが既に売り切れていることもしばしばです。先日はのんびり品定めをしていたら、疾風のように現れたオヤジさんが、最後に一つ残った魚のフライを何の迷いもなく手に取り、疾風のように去ってゆきました。
他ではお目にかかれない珍しいお魚やお惣菜が並びます。初めて食べて好きになったものの一つがマグロと真鯛の胃袋のトリッパです。トリッパと言えば牛の胃袋ハチノスをトマトと煮込んだお料理を思い浮かべますが、それをお魚の胃袋に置き換えたものです。ハチノスより繊細だけれども似たような弾力のある歯応えがたまりません。珍しいといえば、ここ2ヶ月ほど気になっていて、なかなか買えなかったものがあります。それはお魚の昆布締めです。私の故郷富山の郷土料理で、新潟に来てから何十年も食べていませんでした。白身魚のお刺身を昆布で挟み込むだけですが、魚の水分が昆布に吸収されることにより身が締まると同時に、昆布の旨みが白身に移りとても美味しくなります。2月頃はマダラの昆布締めが提供されていると知りました。味の想像がつき、とっても食べたかったのですが、あえなく売り切れでした。最近のInstagramにホッケ昆布締めのカルパッチョが紹介されており、これは味の想像がつきません。どうしても食べたくて、昨日ついにゲットしました。調べてみると、ホッケといえば北海道のものが有名ですが新潟でも獲れるとのこと。ただし傷むのが早いので干物に加工されて売られていることがほとんどのようです。生のホッケは店主が釣ってきたからこそ食べられるのです。「今日は海にアミ(アカヒゲ)が多くて、それをホッケが食べてるのでお腹が空いておらず、餌の食いつきが悪かった」とおっしゃっていました。目の前のお料理が魚として生きていたことを身近に感じる不思議な感覚です。
ホッケ昆布締めのカルパッチョはオリーブオイルで味わいます。もっちりとした食感の白身にほのかな昆布の風味を感じます。そのままでは身が柔らかすぎると感じた店主が、昆布で身を少し締めてからカルパッチョにしようと考えたそうです。これまで食べたのはカルパッチョだとカガミダイ、キンメダイ、マゾイなど。他にはイワシのエスカベッシュやカルピオーネ、マグロカツ丼、魚のフライ盛り合わせなどなど。白ワインがすすみ過ぎます。昨日は他に、あら汁、鯛めしのおにぎり、女池菜のおにぎりなどもあり、どれも美味しそうで、毎回買い過ぎないように我慢するのが大変です。Instagramで当日の商品が紹介されますが、日によって変化していくので、気が抜けません。
これからも春夏秋冬、季節ごとの新潟の旬のお魚を味わえるのがとても楽しみです。
住所 | 新潟市中央区南浜通り1-372 |
---|---|
電話番号 | 070-4118-8850 |
営業日 | 水曜~土曜(祝祭日除く) |
営業時間 | 11:30~18:00 |
URL | https://www.vittoria-deli.com |