髙橋 美徳
熱い油に食材が弾ける音が店内に広がって、続いて中華鍋とお玉の当たるリズミカルな音が響く。壁面に切絵が飾られたコンクリート打ちっぱなしの店内は天井が取り去ってあり、狭い感じはない。4人掛けテーブル席が4つ、カウンター席が6席。すこし高く設置された厨房からは客席が見渡せるオープンな造りになっている。
注文が厨房に告げられると、了解の返答の後、間を置かずに調理が開始される。店主の力強い鍋さばきから運ばれてくる皿への期待感が高まる。
町内会の集まりで近所に新規開業した中華のお店として教えてもらった。これまで西区で中華 萬福食堂として人気店だったそうだが、中央区に移転してきてくれたらしい。
看板メニューの萬福クルミ担々麺は、胡桃が油分のコク味となり辣油の辛味をまろやかにしていて、丼底に沈んだ肉そぼろを掬いながらスープを飲み干してしまう一杯だ。ランチメニューの4種の麺セットにはミニチャーシュー高菜丼付きが選択できる。もう一つの定番メニューの四川麻婆豆腐は、山椒と花椒が効いていながら辛すぎない絶妙の味だ。
強い火力で一気に炒めることで家庭では再現できない食感と色彩を楽しませてくれる。丁寧な下ごしらえも必須であろう。臭みのない弾力豊かなエビ、家で食べるそれとは全く異なるシイタケの食感、色鮮やかな野菜の色は上手く油通しがされているからだろう。
ディナーメニューも多彩で充実している。口水鶏はあまりに柔らかい口当たりに驚かされた。空芯菜のにんにく炒めも干しエビの出汁が効いていて、程よい塩味で美味しくいただいた。青島ビール、台湾ビールも用意され、紹興酒を使ったカクテルも提供されている。出来立ての料理を頂きながら、程よい酔いに浸るのが楽しい。古町商店街のイベントで販売されるもち豚肉まんは、粗刻みのジューシーな豚肉に、食感のアクセントのシログワイが入った餡をどっしりとした皮が包みこんでいる。歩き食べにいかが?と販売が始まったようだが、今は店内でも提供されている。
町中華を超えた本格中華が味わえる嬉しいお店である。全メニューを制覇したくなってしまう。
Chinese Kitchen 古町萬福
住所 | 新潟市中央区古町通6番町982-1 1-C |
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TEL | 025-354-1866 |
営業時間 | 11:00~15:00 |
夜営業 | 木・金・土・日 17:30~21:30 |
定休日 | 月・火 |