黒田 兼
お店に入るとすぐレジがあり、店員さんに「だい」と声をかけつつ、お水を持って座る。レジの奥には厨房があり、少し前まではオヤジさんが黙々とラーメンをつくっている姿があった(現在は息子さんたちかな?)。しばらくするとお待ちかねの、恐ろしく色の濃いスープ、チャーシュー・メンマ・ネギのトッピングに、黒胡椒のラーメンが登場。早速一口すすって、
「うーん、これこれ」
富山の田舎で育った私にとって、夏休みや冬休みに両親と富山市西町(新潟ならば古町?)の大和デパート富山店に行くことは、一大イベントだった。デパートを見てまわり、夕方になるとすぐ隣のラーメン屋さんに行くのが常だった。常連さんは慣れたもので、お店に入るなり立ち止まることもなく、店員さんに「だい」と声をかける。二人連れなら「だいしょう」というように一言だけ注文し席に着く。「だい(大)」は大盛り、「しょう(小)」は普通サイズのチャーシューメンである。小学生の頃から自分は「大」を両親がそれぞれ「小」を食べたが、決まって父の前に「大」、母と私には「小」のどんぶりが置かれたものだ。このお店が近年有名になった富山ブラックラーメン発祥のお店「大喜」である。ブラックと称されるだけあり、スープはものすごく濃い色で、メンマと共にしょっぱい。創業者は、戦後労働者がラーメンをおかずにして、たくさんご飯を食べられるように塩気を強くしたといわれている。大学生の頃大阪出身の友人を連れて行ったら、
「なんだ、このしょっ辛いだけのラーメンは?」と言われたものである。もちろん決してしょっ辛いだけのラーメンではない。
今回ご紹介するのは、創業者から暖簾分けされたお店「大喜 根塚店」である。
開店した当時から創業のお店と比べ、ややマイルドな食べやすい味だった。だがしっかり「大喜」の直系と感じる味わいが今も引き継がれている。
小上がりもある明るい店内は、小さな子供のいる家族連れも多い。私にとってはソウルフードと言っても過言でないが、新潟ではなかなかお目にかかれないタイプの、強烈なキャラクターのラーメンである。
さて富山市西町の「大喜」は、創業者からレシピを受け継いだ経営者が多店舗経営を行い繁盛しているようだ。これらのお店との味の違いなどについては、ネットを検索していただければと思う。どちらもそれぞれの個性があり好みの違いと感じるが、帰省するとつい食べてしまうのは「大喜 根塚店」である。
お昼時は駐車場が満車になりがちなので、私が行くのはいつも15時頃。持ち帰り、お取り寄せも可能のようである。でもまあ、できれば富山まで行って、慣れた感じで、
「だい!」
と注文を!
大喜 根塚店
| 住所 | 富山県富山市根塚町4丁目2-8 |
|---|---|
| TEL | 076-491-2929 |
| 営業時間 | 11:00~20:00 L.O. 19:50 |
| 定休日 | 水曜 |
(令和8年3月号)