長谷川 まこと
1 立地について
当院の立地は秋葉区中村地区(旧新津市中村)である。新津丘陵西側の、丘陵が緩やかに立ち上がりはじめる地で、新潟市の中心地からは20kmほど離れた「若干田舎」である。病院裏の台地には、今は畑地だが、原遺跡というかなり大きな集落の縄文遺跡があり、さらに弥生時代の環濠集落古津八幡山遺跡や県内最大の古津八幡山古墳も南方1~2kmと近くである。古代、農耕が始まる前は、この辺りは水辺の幸、山の幸が手に入りやすく、人々が早くから住み始めた、ひらけた地区だったのではないかと思う。
現在のアクセスは車では国道49号線さらに新津バイパス経由で新潟市中心部から40分、高速を使って新津西スマートインターチェンジで降りると10分ほど短時間でつく。JRでは古津駅から徒歩15分、新津駅からはバスに乗り中村停留所下車徒歩5分である。
2 歴史
当院は(当時は新潟市青山にあった)新潟信愛病院の分院として県の北東部をカバーすべく、1962年に当時の新津市大字中村字蓑輪に誕生した。55年経ったことになる。創立時は新津精神病院という名称で、68床であった。その後148床、174床と増床し、1988年に210床となって現在に至っている。名称は1982年より新津信愛病院となっている。
医師会は平成18年に三市中蒲東蒲医師会消滅に伴って新潟市医師会の所属となる。
3 現在の当院
病院は2階建て一部体育館部分は3階建てで延べ床面積は9200㎡。ベッド数は210床。4棟からなっており、うち精神療養棟が2病棟120床、あとは50床の一般精神棟(入院基本料15:1)と40床の急性期治療棟(入院料1、医師配置加算)からなる。精神療養棟2棟は開放棟、一般精神棟は閉鎖棟、急性期治療棟は開放・閉鎖ミックスである。入院者の内訳は主病名は統合失調症圏が70%くらい、感情病圏が20%くらい、その他脳器質性精神病等となっている。統合失調症等のいわゆる内因精神病の入院者も高齢化に伴い認知症や他の身体疾病を合併する例が多くなってきている。すなわち、65歳以上が50%、70歳以上が30%である。入院形態別では70%が医療保護入院、30%弱が任意入院である。入院者住地の内訳は新潟保健所管内45%、新津保健所管内(五泉・東蒲原地区)30%、三条保健2018所管内10%、新発田保健所管内5%と多方面にわたっている。外来は一日平均85名と病院のアクセスがあまりよくない割に外来者数が多いのがひとつの特徴である。併設施設としては自立訓練事業所「フレンドあきは」(定員20名)、グループホーム「さつき荘(定員20名)」、訪問看護ステーション「クローバー」があるが、他に当法人の他医療保健施設(新潟信愛病院、老健施設しんあい園、老健施設三川しんあい園など)のほか、地域の様々な医療保健福祉施設と連携を図っての運営である。
研修機能としては精神神経学会専門医研修施設、新医師臨床研修協力機関である。また、医療観察法の指定通院医療機関を受けている。
4 今後の当院
開かれた精神科病院という言葉が以前より唱えられているが、当院も自己完結型からさらに脱し、これまで以上に周辺のクリニック、病院、保健福祉施設や地域の資源と連携を持ち、当院外来機能や精神科リハビリ・訪問看護等地域生活サポート機能を活用して頂けるようにしたい。また、入院機能を利用ご希望の際には、急性期病棟等を生かして、よりいっそう柔軟・速やかに対応できるよう、体制を整えていきたいと思っている。現在も合併症治療などで皆様には大変にお世話になっているが、新潟市医師会の諸先生方のご理解、ご協力、ご支援を重ねてお願いいたします。
2017