病院長 成瀬 聡
はじめに
総合リハビリテーションセンター・みどり病院は、平成14年に中央区神道寺に開設されました。今年で16年目を迎えます。慢性期病院として誕生した当院は、回復期リハビリ病棟と療養型病棟という形でスタートしました。院長に佐藤豊先生(現名誉院長)が着任し、リハビリ部門を充実させ、回復期リハビリ病棟が120床という県内最大規模のリハビリ病院となりました。平成24年に病院長が代わり、認知症、神経難病にも力を注いできましたが、昨年より更に地域に根差した病院を目指して、地域包括ケア病棟を開設しました。地域包括ケアシステムの中で、地域の方々が気軽に受診し、入院治療を受け、また、地域に戻っていくという病院を目指しております。
以下に当院が重点的に取り組んでいる内容をご紹介させていただきたいと思います。
1.リハビリ
当院は開設当初より、リハビリに力を入れております。リハビリ専門医は常勤1名、非常勤2名で、リハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語療法士)も98名という大所帯でリハビリにあたっております。現在、112床の回復期リハビリ病棟があり、専門医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語療法士など、多職種の専門スタッフが一丸となった「チーム医療」を展開。患者ごとのリハビリプログラムに基づき集中的・専門的なリハビリテーションを提供しています。回復期リハビリテーション以外にも、障害者施設等一般病棟・療養病棟での神経難病リハビリ、地域包括ケア病棟でのリハビリなど、病院全体で積極的なリハビリを行っております。本年10月からは、一部の病棟を、回復期リハビリテーション病棟入院料1.に類上げして、更に専従医師も配置し、体制強化加算も併せて算定していく予定です。
院内でのリハビリ以外にも、訪問リハビリ、通所リハビリを強化しております。地域包括ケアシステムにおいて、在宅でのリハビリは大きな存在となっており、生活機能維持・向上のリハビリは非常に重要です。当院では、このような在宅でのリハビリにも力を注いでおります。
2.認知症診療
当院は平成26年1月に新潟市より認知症疾患医療センターの指定を受けました。もの忘れ外来は常勤2名、非常勤1名の認知症専門医が診療にあたっており、平成27年度の初診患者は408名(紹介率77%)でした。認知症の早期発見・早期介入に向けて外来を行っていますが、その他に平成28年1月より新潟市のモデル事業として、「認知症初期集中支援チーム」を結成し、介入が困難な認知症の方々の支援を行っています。
認知症の行動心理症状(BPSD)に対する相談も増え続けており、地域での多職種連携を実践しながら適宜、薬物治療を行っています。また、在宅ネットワークとして、認知症に特化した在宅医療ネットワーク「とやのがたネット」を立ち上げ、認知症の研修会を開催しております。
認知症の方の合併症による入院も積極的に受けており、認知症のケアをしっかり行いつつ身体合併症の治療を行っております。当院では、認知症ケア加算1.を算定しており、認知症専門医と認知症認定看護師を中心に結成された、「認知症ケアチーム」が院内を巡回しながら、認知症のケアやBPSDの治療について助言を行っております。また、身体拘束は原則禁止となっており、身体拘束を行わずに如何に合併症の治療をしていくかを絶えず議論しています。
3.地域包括ケアシステムに向けて
当院では、地域包括ケアシステムの一端を担う病院を目指して、改革を進めております。平成28年度より、療養型病棟の一部を改変し、地域包括ケア病棟としました。当院における地域包括ケア病棟は、地域住民のサブアキュート入院と、急性期病院からの転院が半々となっております。地域包括ケア病棟の開設にあたっては、内科診療を充実させる必要があり、この2年で常勤の内科専門医を新たに4名採用し、対応しております。高度急性期を必要としない緊急入院もできるだけかかりつけ医の先生方から受け入れられる体制になっております。入院患者を地域に戻すには、前述のリハビリも非常に重要ですが、摂食嚥下も重要なファクターとなってきます。当院ではNSTと摂食嚥下チームを強化し、安定した経口摂取を目指してチーム回診や診療の助言を行っております。
入院患者を地域に戻すためのもう一つ大事な点が、退院支援です。当院では平成28年より、退院支援加算1.を算定しながら、「退院するための入院」をモットーに退院支援に力を入れております。また、平成29年度から、当院は新潟市の「在宅医療・介護連携ステーション 中央第二」に指定されました。地域の医療と介護の連携に少しでも寄与し、よりよい地域包括ケアシステム構築ができればと考えております。
おわりに
以上のように当院は、慢性期病院から回復期(回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟)病院へと軸足を移しながら、これからも地域医療に貢献していく所存です。その中で、かかりつけの先生方とも連携しながら、後方支援病院の役割を果たしていきたいと考えております。今後とも引き続き、ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。