副会長 永井 明彦
明けましておめでとうございます。昨年5月12日の臨時代議員会において、新潟市医師会副会長に選出され、7月1日に就任しました永井明彦です。新潟市の広域合併に伴う医師会の再編で当時の三市中蒲東蒲医師会から平成18年4月に当医師会に編入し、大川元会長と佐野前会長の下で4期8年の間、理事を務め、多くの経験を積ませていただきました。元より浅学菲才の身ではありますが、広橋武副会長と共に精一杯、藤田一隆会長を補佐していく所存です。
昨年末に唐突に国会が解散され、総選挙が行われました。準備不足の野党に対し与党は目論み通りほぼ現状を維持しましたが、投票率は戦後最低の52%で、自民党の得票率は小選挙区で48%(比例代表は33%)でした。即ち自民党は全有権者の僅か1/4の支持で小選挙区の3/4もの議席を占めたことになります。小選挙区制の弊害もここに極まれりですが、与党は白紙委任された訳ではなく、少数意見にも耳を傾け、慎重に国の舵取りをしてもらいたいものです。
アベノミクスの第2、第3の矢は的外れで、トリクルダウンは期待できず、トマ・ピケティの言うように格差は拡大する一方です。人口減少に伴い国内需要が低下し、デフレ脱却は難しく景気後退の可能性が出てきたために今年10月の消費税増税は見送られました。消費税が損税となる医療機関としては、ひとまず増税が先送りされ、一息ついた格好になりました。増税の延期により社会保障に回る財源がなくなるような報道がされましたが、例え増税されても増税分は法人税減税の穴埋めにされたり、公共事業の原資になったりで、医療や福祉に回って来ない怖れがあります。「税と社会保障の一体改革」はどこへ行ったのでしょうか。医療や福祉の財源は消費税増税にしか求められないのでしょうか。高齢化により医療費の自然増は避けられません。税収が増えず、国家財政が逼迫するなら、潤沢な特別会計を取り崩すなどして予算を大胆に組み替え、「平時の安全保障」としての皆保険制度の堅持やセーフティーネットの構築に取り組んで欲しいものです。
昨年4月の診療報酬改定で、国は高齢化のピークとなる2025年を見据え、在宅医療を重視して地域包括ケアシステムの構築を提案しました。しかし、この度の総選挙が終わるや否や、介護報酬の引き下げを画策し、2025年には100万人が必要とされる介護人員を減少させるような矛盾した政策を推し進めようとしています。政権党を支持した日医は是々非々で対応し、医療政策の過ちを正すべきだと思います。
さて、当医師会は「一般社団法人」として再出発し、7月に新体制を発足させました。新たに4名の理事を迎え、各部署の再編成や業務内容の見直しが行われています。藤田新会長は就任のご挨拶で、「組織率の向上」「IT化の推進」「事務局の強化」を挙げました。「組織率の向上」のために市内の病院の研修医の医師会会費を無料化し、勤務医の先生による「病院だより」を医師会報に掲載するなど、着々と手が打たれています。「IT化」は医師会HPの充実や理事会資料のペーパーレス化などで推進されつつあります。「事務局の強化」としては、事務局組織の改編や組織内人事交流などを目指し、さらに医師会各班に担当事務局員が貼り付けられ、会員の先生方の普段の医師会活動のお手伝いをするなど、新たな事務局の在り方が模索されています。
今年も医療・介護・福祉を取り巻く環境は、ますます厳しさを増すものと思いますが、藤田会長の下、執行部は一丸となって医師会活動に邁進していくつもりです。最後になりますが、会員の先生方のご支援ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
(平成27年1月号)