新潟大学腎研究センター 腎・膠原病内科学 教授 成田 一衛
爽やかな春の季節になりました。今年の冬は何年かぶりに災害に指定されるほどの豪雪で、市内の交通が麻痺しました。私事ですが、自家用車がスタックして助けて頂いたり、自宅の温水器が止まって不便な思いをしたこともありました。佐渡市では水道管が破裂して断水が続いたことや、三条市では停止した電車に15時間も閉じ込められたなどの報道に驚いたりしました。しかし、私が知る限り腎不全の患者さんの医療に大きな支障は起こらず、医師会の皆様の御尽力に改めて感謝致します。この季節になると、自然の大きな四季変化の中に春の歓びをはっきりと実感できることに、感謝したい気持ちにもなります。
さて、本年6月8日(金曜日)~10日(日曜日)にかけて、第61回日本腎臓学会学術総会を新潟市朱鷺メッセを主会場として開催します。腎臓内科医、泌尿器科医、基礎研究者を中心として会員数11,000人を超える伝統ある学会の全国大会を新潟市内で開催させて頂けることは、私共新潟大学腎研究センターグループにとって光栄なことです。本邦初の腎生検を行ったことや早くから透析医療や腎移植に取り組んできた第二内科や泌尿器科の諸先輩、また私の同僚や後輩の研究業績が認められたものでもあり、感謝しております。
わが国は超高齢化社会を迎え、加齢とともに増える腎臓病の克服に向けた新薬開発や医療技術、さらには社会全体での対策(いわゆるSocial prescriptionと呼ぶそうです)が必要です。医学会全体も新専門医制度が始まるなど、腎臓学会を取り巻く環境や社会のニーズも変化しています。腎臓学は今までの歴史と成果を基に、新たなステージに向かう必要があります。そこで本学会のテーマを、新たな歴史に向けて最初の一歩を踏み出すという思いを込め、またメイン会場の朱鷺メッセをイメージし、“飛翔:腎臓学の源から新世代へ”と致しました。ICT、AI、再生医療、ビッグデータ、遺伝子編集など、新しい研究テクノロジーを、どのように腎臓研究に活かし、人間社会の幸福や発展に貢献できるのか、改めて考え、また情報や課題を共有する機会となればと考えております。
特別セッション、シンポジウム、展示など、全体をそのようなテーマを考慮した企画を予定しております。その他、次世代の人材育成のための教育的セッションや、若手活性化につながる取り組み、多職種連携に関連した企画も充実をはかりました。プログラムなど詳細はhttp://jsn61.umin.jpを御覧下さい。非会員も入場できますし、有用かつ興味深い情報がたくさん得られると思います。
御参加頂いた方々の研究と診療に役立つような有意義な学会となるよう、教室員一同、そして副会長の河内裕教授(腎研究センター分子病態学)はじめ、私共新潟大学腎研究グループ一同、鋭意準備しております。皆様のお越しを、心からお待ちしております。
学会の宣伝を巻頭言に代えさせて頂くこと御容赦下さい。
末筆ながら医師会員の皆様の益々の御発展を祈念しております。
(平成30年5月号)