新潟市保健衛生部長 佐藤 隆司
新潟市保健衛生部長(医療介護連携担当理事)の佐藤隆司です。この4月から再び保健衛生部長として、医師会の皆様にお世話になっています。福祉部長であった昨年度同様、引き続きよろしくお願いします。
新潟市は来年(2019年)1月1日に開港150周年を迎えます。幕末・維新の動乱期に世界に門を開いたいわゆる開港5港(横浜・長崎・函館・神戸・新潟)の1つとして定められた新潟港でしたが、準備が大幅に遅れ、5港のなかでは最後の開港になりました。開港後イギリスなど各国の領事館も開設されましたが、水深が浅いことなどから利用が伸びず、また異国情緒を感じさせるところも少ないため、他の4港に比べると港町としての知名度はいまひとつ高くありません。港自体は戦後掘削により東港が整備され、従来の西港との役割分担が整理され、新潟県・市の発展に寄与してきました。新潟市では地域の発展の核となった港をアピールするため、開港記念日を挟んだ前後の2年で様々な事業を展開していきます。7月に行われた「海フェスタにいがた」や10月まで行われる「水と土の芸術祭2018」を皮切りに2019年秋のJRデスティネーション・キャンペーンまで市民の皆様に楽しんでいただき、一緒に盛り上げていくとともに、賑わいを作り出していきたいと考えています。
さて、新潟市の保健衛生をめぐる状況ですが、労働基準監督署から新潟市民病院への是正勧告を契機に焦点化され新潟市医師会の皆様にもご心配をかけています救急医療体制の問題、今後ますます加速する人口減少・超高齢社会に向けた在宅医療体制の整備や地域包括ケアの推進・深化など課題は山積みです。一朝一夕には問題を解決できませんが、一つ一つ粘り強く取り組んでいきます。
その長期的な取り組みの一つとして、健康寿命の延伸があります。皆様もご存じのとおり新潟市民は晩年、全国平均と比べると若干健康でない期間が長い傾向にあります。新潟市では昨年度を「健康寿命延伸元年」と位置付け、新潟市全体だけでなく、区単位さらには中学校区単位での市民の健康状況を見える化し、市長のまちづくりトークなどで市民の皆様にお示しするとともに意見交換を行いました。自分の住む地域でどんな病気が多いのか、喫煙率や飲酒率が高いのか、健診の受診率が悪いのかなど、データを持って認識していただくことで市民自らが健康に向けた取り組みを始めるきっかけにしていただきたいと考えています。
今年度は働き盛りの世代へのアプローチとして、「健康経営」の支援を始めています。国(経済産業省)にも健康経営に取り組む企業に対する認定制度はありますが、より気軽に取り組んでいただくための新潟市独自の認定制度やこれを支えるネットワークづくりをスタートさせ、今は参加いただける企業・団体を募集しています。
こうした取り組みを成功させるには、我々行政だけでなく、様々な立場の皆様から協働していただくことがますます必要になっています。その中でも地域医療の中心的存在である新潟市医師会の皆様の役割は大きなものであり、新潟市としても医療・保健・福祉の向上を目指す最も重要なパートナーと期待しているところです。
新潟市は「ずっと安心して暮らせるまち」の実現を目指してまいります。これからも今まで以上によろしくお願い申し上げます。
(平成30年8月号)