新潟市福祉部長 三富 健二郎
新潟市福祉部長の三富健二郎です。よろしくお願いいたします。
今夏の記録的な猛暑に閉口しながらも、平成としては最後となる秋を迎えました。着任から約半年、市民福祉の向上という責任に応えられるよう日々研鑽を積む傍ら、息抜きのひと時となったのは、NHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」でした。
─ドラマの主人公は1971年生まれの団塊ジュニアの女の子。左耳が聴こえないハンデをものともせず、三世代家族の中で明るく伸びやかに成長。主人公が社会へと巣立つ時代設定は、バブル景気で沸く昭和から平成へ切り替わる時代。漫画家を夢見て上京し、著名な漫画家の弟子となるものの、志半ばでその道を断念。心が折れた主人公を友人らが懸命に励ますなか、再び人生の転機が訪れる。世の中がミレニアムと騒ぐ2000年を前にして、映画監督の夢を追いかける青年と出会いゴールイン。その後も紆余曲折、人生の分岐点で思い悩む主人公が、家族や少々おせっかいな親族、何でも相談できる幼なじみの面々に支えられ、ひとつずつ障壁を乗り越えていく物語─
ドラマ前半の時代設定が私の学生時代から子育て期にオーバーラップしたこともあって、見事にドラマに引き込まれてしまいました。このドラマが終始描いたものは、日本人が手に入れたモノの豊かさや私生活重視主義ではなく、むしろ日常生活の中での人と人とのつながり、他人を心配する心の通った関係性でした。平成の終盤を迎えた今、こうしたつながりや関係性が眩しくもあり、何よりも頼もしく感じられたのです。
さて来年5月、新しい元号に切り替わります。元号が平成に変わったときの戸惑いは、30年経った今でもこの間のことのように覚えています。2度目の改元に立ち会えるとは、私も半世紀余の歳月を重ねた訳だと感慨深いものがありますが、人生100年時代にあっては、まだまだ「半分、青い。」ということになるのでしょう。
顧みて平成時代の大きなトピックは、2015年国勢調査結果の総人口が1920年の調査開始以降、初めて減少に転じるという局面に突入したことです。超高齢社会や生産年齢人口が減少する社会がこの先続くという事実から目を背けることなく、若者や子どもたちの未来のためにも、人口が増加していた時代のモノの見方や仕組をあらためて点検する必要があります。
時代の分岐点に立った今、持続可能な社会保障制度の再構築とともに「地域社会のあり方」についても、これからの時代を乗り切るための両輪として考えなければなりません。
本市では、新潟市医師会の皆様方の多大なるご協力のもと、住み慣れた地域で介護予防・生活支援・医療・介護が包括的に提供できる地域包括ケアシステムの構築が良いかたちで進んでいます。こうした安心安全な暮らしを包み込む基盤となるのが「地域共生社会」です。高齢者や障がい者、生活に困窮されている方々の困り事など身近で起こっている出来事に対し、地域で生活されている方々から「我が事」として関わっていただき、地域医療・福祉の専門機関等が分野を超え「丸ごと」つながることで、一人ひとりの暮らしや生きがい、そして地域を共に創っていける社会です。
新しい局面を迎えた時代だからこそ、これまで以上に人と人、組織と組織とが顔の見える関係でつながっていることが大切です。地域共生社会の大きな力となります。
新潟市医師会の皆様方には、今後とも変わらぬご支援をお願いいたします。
(平成30年10月号)