新潟大学医学部学士会(有壬会)会長
新潟大学医歯学総合病院・総合周産期母子医療センター 髙桑 好一
このたびは巻頭言執筆の機会を与えていただき、感謝申し上げます。新潟市医師会と新潟大学医学部学士会の縁は深く、歴代の新潟市医師会長の先生には、学士会の副会長をお願いしており、現在の市医師会長でいらっしゃる藤田一隆先生にも副会長として会務を担当していただいております。
新潟大学医学部は、明治43年(1910年)4月に官立新潟医学専門学校として開学しており、現在まで109年の歴史を有しております。一方、本学士会の組織は、大正4年(1915年)に設立された官立新潟医学専門学校卒業生による学士会と昭和2年(1927年)に設立された新潟医科大学卒業生による学士会がその後合同し、成立いたしました。現在、新潟県内に15支部、新潟県外に44支部、合計59の支部組織があり、会員数は6,715名で、全国各地で会員の先生方が活躍されております。学士会の本部事務局があります有壬記念館は新潟大学医学部創立75周年を記念して建てられたものですが、有壬記念館が立地する場所には、かつて新潟大学本部棟があり、さらに遡りますと、明治維新後に建立された「招魂社」という有名な神社がありました。昨年末、テレビで新潟県護国神社の記念番組が放送され、その中で招魂社の古写真が紹介されておりました。近くにある「招魂坂(しょうこんざか、別名ワルツ坂)」にその名残を留めておりますが、かつては新潟の市街地を一望できた高台であり、新潟市の中でも由緒ある場所に有壬記念館が立地していることにある種の感慨を覚えます。
本学士会は同窓会組織として、会員の連携・親睦の支援を主な事業としておりますが、新潟大学医学部医学科、医歯学総合病院や脳研究所などの教育・研究・診療を支えることも大きな使命となっております。学士会が現在行っている事業は〇学士会支部活動のための支援、〇若手学士会会員の育成事業の推進、〇広報活動として『学士会会報』や『有壬だより』の定期的な発行とホームページの運営・リニューアル、〇新潟大学全学同窓会との交流の支援、〇市民公開講座である「有壬セミナー」の企画立案、〇医学部関連の歴史的資料の整理、など多岐に亘っております。
これらの中でも、学士会活動の活性化のために、若手学士会会員の育成事業に力を入れております。中堅の先生方の医学研究に対し授与される「有壬記念学術奨励賞」では、毎年、質の高い研究を選考し、顕彰しております。また、学士会の準会員である新潟大学医学部学生の皆さんが教員の指導のもとに行った研究成果に対し「有壬記念医学生研究奨励賞」を授与しておりますが、平成30年は19名が表彰されました。一方、新潟県内で卒後臨床研修を受ける研修医の先生方に対し給付される「新潟県・新潟医学振興会臨床研修医奨学金」に対し、本年から、学士会からも一部資金提供を行い協力しております。
最近、医学・医療の分野で医工連携を初めとした、産学連携の重要性が指摘されております。新潟大学は、県内の有力企業が参加し大学の様々な活動を支援する「新潟大学サポーター倶楽部」との連携を重視しておりますが、この連携に各学部同窓会の協力が要請されております。学士会としての対応は未定ですが、今後、産学連携推進のための支援について、検討していくことが重要ではないかと考えております。
もうすぐ平成が終わり、新しい時代が始まりますが、新潟市医師会会員の先生方には、今後とも新潟大学医学部学士会へのご支援をよろしくお願いいたします。
(平成31年3月号)