新潟大学医歯学総合病院長 冨田 善彦
わたくしは、昭和60年に新潟大学医学部を卒業いたしまして、その後、故・佐藤正太郎教授の泌尿器科学教室に入局し、新潟大学医学部附属病院のほか済生会新潟病院(旧)、長岡赤十字病院等で勉強させていただき、平成14年10月に、新潟大学医学部准教授から山形大学医学部教授として赴任しました。山形大で12年間勤務しました後、平成27年1月に、新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野教授として、新潟に戻ってまいりました。早いもので戻りましてから4年が経過し、この4月1日から新潟大学医歯学総合病院長を拝命いたしております。
病院長就任直前より、いくつもの課題があることが判明しておりましたので、4月当初より、早速種々対応してきておりますが、平素大変お世話になっております、新潟市医師会の先生方にまずお知り置きいただきたいことは「働き方改革」のことかと存じます。ご存じだと思いますが、政府の方針から、労働関係法案の改正がなされ、医師を除く職種に関しては、この4月1日から施行されております。ご自身でご対応されておられる先生も少なくないものと思いますが、簡単に申しますと、いわゆる36(さぶろく)協定を結んでも時間外勤務の青天井が撤廃され、上限ができたこと、また、年間5日の有給休暇の取得が義務付けられたことが根幹です。医師に関しては現在の勤務実態から、医師以外の職種の法律を適応するのは、現実的でないとの判断から、その内容が検討されてきましたが、3月28日に厚生労働省で医師働き方改革検討委員会からの報告書が発表されました。医師は時間外労働の上限が一般規則の720時間をこえて、960時間、特定の病院では1860時間までとなり、2024年から法律の施行となるわけですが、実は2035年までに他職種と同等になるように改善する必要があります。
それでは、2024年に順法の体制がとれるかどうかと申しますと、まずは、実態自体を把握する必要があり、4月からは助教以上の先生方の、6月からは医員の先生方の実態調査を始めています。法律が適用される労働時間は医歯学総合病院での勤務時間だけでなく、診療応援(代診や、手術応援、当直など)の時間も含まれますから、制度設計は簡単ではありませんし、医歯学総合病院だけではなく、新潟市、新潟県、あるいは県外の医療機関をも巻き込んだ問題になってしまいます。今後は、医歯学総合病院での制度設計を県内外の関連病院とも密接に連携しながら中堅若手医師がいろいろな意味で気持ちよく働けるように、丁寧に、しかし、スピード感はもって行っていきたい、と考えております。
病院での新しい取り組みとしましては、旧歯学部に大学全体と共にオープンイノベーションの拠点設置を進めておりますし、遺伝子医療の拠点としての対応も着々と進んでおります。また小児患者さんのご家族の滞在型施設(マクドナルドハウス、他院でも利用可)建設のため、募金を開始いたします。新潟市医師会の先生方にもご協力をお願いすることになると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(令和元年6月号)