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新潟市医師会報より

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災害後の車中泊関連死亡を0に

新潟大学医歯学総合研究科 先進血管病・塞栓症治療・予防講座 特任教授 榛沢 和彦

はじめに当講座のご紹介をさせていただきたく思います。当講座は私と特任助教の伊倉真衣子先生、企業からの研究員などで研究を行っています。当講座の目的は3つあります。

第一は血管内治療用の大動脈解離治療用デバイスを新潟県内の企業と実用化すること、第二は頸動脈で超音波により検出する微小栓子シグナルを他の低侵襲検査と組み合わせて脳梗塞や心筋梗塞などの発症予防、検診方法として確立すること、第三は災害後のエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の予防です。

災害後の肺塞栓症は新潟県中越地震後の車中泊で初めて問題になりました。私たちは新潟県中越地震8日後から下肢静脈エコー検査を行いましたが、車中泊の多くの人に深部静脈血栓症(DVT)が見つかり関連が示唆されました。そこで2006年に新潟県、新潟県医師会、新潟大学の共同で地震対照地検査を阿賀町で行った結果、中越地震被災地ではDVTが有意に多いことが示されました。そこで新潟県、新潟県医師会、新潟大学で『新潟県中越大震災深部静脈血栓症/肺塞栓症診断治療ガイドライン』を作りました。これはその後の震災後のエコノミークラス症候群の診断治療に使われています。その骨子はエコー検査とDダイマー検査値で治療法を決めるものです。熊本地震ではこれが応用され、肺塞栓症が疑われた被災者にDダイマー値測定をして2.0μg/ml以上で造影CTを行う方法で多数の肺塞栓症患者が診断され救命されました。一方、災害後の車中泊による肺塞栓症の危険性について学会を中心に啓発活動を行い、2014年からは毎年、震災シンポジウム・市民公開講座も開催していましたが、熊本地震では車中泊により多数の肺塞栓症が発生し死亡者も出てしまいました。これは啓発だけではダメでシステムとして予防できるようにする必要があることを示しています。そこで現在、トヨタ、マツダなどの自動車会社と情報共有するとともに社会貢献活動として車中泊の問題解決を探っていく相談を始めています。また弾性ストッキング着用により手術後の肺塞栓症が減少したことから、車中泊する際にすぐ着用できるような環境整備の相談を様々な方面で始めています。車中泊用の弾性ストッキングを靴下メーカーなどに安く作ってもらう、国土交通省を通じて災害時の車中泊場所になる「道の駅」などに備蓄してもらう、平時にはコンビニやドラッグストアで販売してもらい災害時には無償で提供してもらうなどです。またマスコミから平時にも車中泊でのエコノミークラス症候群予防策を放送してもらうことも重要と考えています。

一方、車中泊が原因の疾患として肺炎があります。実は車中泊による死亡原因としてエコノミークラス症候群よりも多い可能性があります。高齢者や病気がちな災害弱者およびその家族は避難所より車中泊を選択する場合が多いのです。理由は周囲に迷惑をかけるから、電源が無いからなどです。しかし結果的に車中は狭いため十分な吸引や体位変換などができないことから誤嚥性肺炎および吸引がうまくできないための痰による窒息などが多く起きています。こうしたことから高齢者や病気がちな災害弱者ではなるべく車中泊避難をさせない、避難所に災害弱者の専用スペースを設け、できるだけ早く福祉的避難所の開設を行う必要があります。

(令和元年10月号)

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