新潟市医師会 会長 浦野 正美
新潟市医師会報は今回で600号の発刊となりました。いくつかの大きな時代の流れを乗り越えて、昭和46年(1971年)4月の創刊号発刊以来50年間、一度も途絶えることなく、会報を発行し続けることができたのは、ひとえに歴代の編集委員の先生方や担当役員と医師会職員の皆様のご尽力の賜物であり、ここに改めて御礼申し上げます。また、会報に記事を寄せていただき、愛読いただいている会員諸先生方にもこの場を借りて深謝いたします。
私も平成22年4月から4年間、広報部担当理事として、会報編集に携わることができ、第500号も広報部長の時に刊行しました。この貴重な経験は、その後の医師会活動に対する考え方について多くの教訓を与えてくれました。
さて今年は特別な年で昨年当初から100年に一度の災害ともいえる新型コロナウイルス感染症に全世界が直面しており、当会の活動にも様々な影響が出ています。令和2年3月に感冒様症状で新潟市内の一般診療所を受診した患者が、その後のPCR検査で陽性が確認されたため、その対応に苦慮した経験から当会では、主に診療所向けの対応マニュアルを多くの先生方のご協力により作成しました。
また当会で運営している、新潟市急患診療センターにおける新型コロナ対策マニュアルや、新型コロナに対応した学校健診実施要項も作成しました。さらにオンラインによる各種会議体制を構築し、新型コロナの勉強会も3回開催しました。
新潟県や新潟市の行政機関とも協力して、軽症患者を対象とした宿泊療養施設でのオンライン診療担当医や、PCR検査とインフルエンザの検査、投薬を行う新型コロナ相談外来運営も当会で行っております。
このような状況下でも、アフターコロナを見据えて、様々な医療計画が進行しています。令和6年4月までに対応が迫られている医師の働き方改革と、それに伴う地域医療構想では病院の集約化、機能分担などが求められております。
新潟市においては救急医療体制における2次輪番病院体制なども変革が必要となっております。限られた医療資源の中で地域医療を円滑に運営するためには多くの関係者の協力が不可欠で、そのための方策としては医療情報のICT化と多職種連携が重要と思われます。
国においてもDX(Digital Transformation)の推進が提唱されており、医療分野においてはマイナンバーカードによるオンライン資格認証を手始めに、薬剤情報や特定健診情報などのPHR(Personal Health Record)を盛り込んだ医療情報ネットワークの構築が目指されております。
新潟県においては数年前から医療のビックデータ計画である、「にいがた新世代ヘルスケア情報基盤プロジェクト」が稼働し始めており、当会としてもそれに協力して、今後の市民の健康管理などの分野への具体的な事業を進めていく予定です。
オンライン診療の健全な推進も在宅医療や救急医療への応用も含めて、対面診療を補完する形で検討、準備することが必要になってきています。マイナンバーカードやSWANネットを活用して、医療情報を関係者で共有し、地域全体として一つの医療機関として機能できるような新潟モデルを構築できればと考えています。
今後とも、新潟市医師会活動に対する一層のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
(令和3年3月号)