新潟市医師会 副会長 大滝 一
昨年6月の代議員会役員選挙で副会長を仰せつかりました大滝です。副会長として約10か月が経ちましたが、まだまだ分からないことが沢山あり、医師会活動の広さと深さを痛感しています。私は医師会役員となり9年目で、今まで、藤田前会長の下で広報部長を6年、浦野現会長の下で総務部長を2年務めさせていただきました。今後も皆様から多くのことをご教示いただきながら勉強を重ね、市民の健康、安心・安全、そして医師会員の皆様のために少しでも力になりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
この紙面をお借りして、まずは医師会より会員の皆様に新型コロナ感染症に関するお礼を申し上げます。自宅・宿泊療養に40名ほどの先生方に担当いただき、新型コロナ診療・検査医療機関として約200の医療機関、予防接種には約300の医療機関にご協力をいただきました。新潟県においては新型コロナ感染症で亡くなった方は、人口10万人当たり全国平均が約60人のところ、その3分の1の約20人となっております(2023年3月13日現在)。医師会員の皆様のご努力、行政や医療関係者との協力・協調の賜物と思います。感謝に堪えません。
新潟市をみると、2020年2月29日に県内初の感染例が報告され、それから3年間で累計18万人ほどが感染しております。そのような中、ご自身が感染したり濃厚接触者となり休診とせざるをえなかった先生もおられます。そこで、新型コロナ診療・検査医療機関として届け出をされ、休診された先生方を対象に医師会としてお見舞いを考えております。休診についての調査を行いますので、その際はご協力いただきますようお願いいたします。
その新型コロナですが、5月8日からは2類相当から5類へと見直しが決定し、診療に関する具体的な施策も提示されました。2、3年後には、医療面でも市民の認識としても季節性インフルエンザと同等の扱いとなるものと思われます。
さて、新型コロナの大きな山は越えたとして、医療界には新たな大きなうねりがこれから起こります。それは、医師の働き方改革が待ったなしに迫っている中、昨年、国が大々的に打ち上げた「医療DX」、そして「地域医療構想」「地域包括ケア」です。会員の皆様、そして医師会にとってアフターコロナにおける最大の課題になるものと思います。
国は2030年までに国内の8千の病院と10万の一般診療所の全ての医療機関において電子カルテ導入を目指すと謳っています。新潟市医師会でも急患診療センターに電子カルテを導入すべくワーキンググループを立ち上げました。国ではさらに電子カルテの情報を全国で共有化する方向で動いています。現実問題としては電子処方せんの発行、オンライン資格確認、保険証のマイナンバーカードへの移行があります。
地域医療構想では、国と県が主導して県内では魚沼地区、県央地区では病院再編が進み、今後は上越地区と佐渡地区で病院群の再編がなされる予定です。
そして、いよいよ新潟市における医療構想が本格的に動き出しました。それに伴って、新潟市では内科、小児科、整形外科の二次救急を含めた救急体制の在り方、それぞれの病院の果たす役割や在宅医療の体制、これらが大きく変わっていくと思われます。
新潟市の西地区の主要病院と新潟市急患診療センターがほぼ同時期に建物の耐用年数を迎えます。この機を逃さず大ナタを振るい、俯瞰的視野に立って救急と病院再編の見直しが必要と思われます。医師会からも積極的に提言をと考えています。
話は変わります。毎年4月は年度初めで、新入生に新社会人と各所で初々しい姿を見かける季節です。医療関係でも、病院などでは新人の研修医や看護師、検査技師、事務クラークなどが不安そうな面持ちをしながらも、先輩指導者の一言ひとことに真剣なまなざしを向け、耳を傾けていることと思います。組織は人というリソースが何と言っても大事ですので、会員の先生方には、新潟市の医療の将来を担う若者たちが良き医療人となるよう、ご指導と育成をよろしくお願いいたします。
今後、医師の働き方改革、医療DX、地域医療構想、地域包括ケアと多くの課題がありますが、新潟市医師会は会員の皆様との情報交換を密にし、協力しながら業務に当たりたいと考えています。ご意見を頂戴し、引き続きご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
〈追記〉今月号より新潟市医師会報の巻頭言に執筆者の顔写真が掲載されることになりました。
(令和5年4月号)