新潟市医師会 会長
浦野 正美
会長2期目の任期も残り1年弱となりました。最近の医師会関連事業の進捗状況、今後の見通しなどについてご報告いたします。
新型コロナウイルス感染症は5月8日に5類に移行しました。感染対策は引き続き継続しますが、新潟市総合保健医療センター駐車場に設置してあった、プレハブ製の新型コロナ相談外来(地域外来・検査センター)はその役目を終了したため撤去し、以前の駐車場に戻しました。今年度末までは新型コロナワクチン接種事業のサポートも現行の体制で行います。
新潟市の救急医療を巡っては、人口の少子高齢化による疾患構造の変化、地域医療構想の進展、医師の働き方改革対応などの要因により、大きな見直しが必要となっております。
この問題に関しては数年前から関係者で様々な形で議論を進めてきました。その結果、新潟市内に新たな救急拠点病院の整備が必要との共通認識が得られました。そのため、県医師会主導で救急拠点選定委員会を組織し、3月6日に新潟市で救急車を年8000台以上受け入れる拠点病院の公募を開始、3月27日までに厚生連新潟医療センターと済生会新潟病院の2病院の応募がありました。
何回かの審議を経て、5月25日に済生会に決定し、5月31日に公表しました。この選定作業には私も副委員長として参加しました。選定された済生会には今後、救急対応強化を進めていただきますが、次点の医療センターも引き続き、救急医療体制の充実にご尽力いただくことになりました。
今後は公立病院を含めた、新たな枠組みでの病院再編計画が始まると思われ、救急医療以外の分野においても、周辺の医療圏を含めた関連機関で綿密な打ち合わせと調整が必要になることが予想されます。当会としてもこの案件には積極的に関与していきたいと考えております。
当会が新潟市から委託され運営している急患診療センターの電子カルテ導入については、新潟市における救急搬送のICT化も含めた幅広い観点での導入計画を進めております。
オンライン資格確認システム導入とマイナンバーカードの保険証利用促進に代表される、国の医療DXの急速な進展計画についても、あらゆる方面からの情報収集に努め、会員の皆様のご意見もお聞きして、現場で使いやすいものになるように、県医・日医などを通じて国にも働きかけていきたいと思います。
昨年7月に発足した当会のシンクタンク、新潟次世代医療科学研究協議会N[EXT]A(ネクスタ)は、医療DX全般に関する勉強会などを開催しておりますが、今年度から、在宅医療での認知症への多職種連携による対応方法や、診療所で使いやすいICTツール開発に関しての調査・研究も開始しました。
新潟県における医師不足の解消のためには、新潟大学医学部学生の教育実習にも協力することが有用と思われます。平成12年度から新潟市内の医療機関にご協力いただき、医学科1年生を対象とした早期医学体験実習Early Medical Exposure(EME)に参加しておりますが、今年度から従来の2日から3日間への延長と、2施設増加の16施設で受け入れることになりました。今後はこの実習内容を充実させ、日数の延長、受け入れ施設の拡充を目指し、地元の先生方との一層の交流を深めていただきたいと思います。このような活動により、医学生の地域医療への理解を深め、卒業後も新潟に多く残っていただくような環境づくりを、新潟市医師会としても行っていきたいと考えております。
会員の諸先生におかれましては、引き続き当会活動へのご助言とご協力をお願い申し上げます。
(令和5年7月号)